<社説>道の宿泊税 来春の導入へ課題残る

 北海道の法定外目的税「宿泊税」は来年4月の導入まで半年を切った。宿泊料金に応じて1人1泊100~500円を徴収する。道は年間約45億円の税収を見込む。しかし、肝心の使途は検討が続いている。
 札幌市や函館市など13市町村が同時期に独自の宿泊税を導入する。税額はまちまちだ。道との二重課税となり、制度は複雑となった。温泉地では入湯税も加わる。重税感は否めない。
 現場で納税に理解を求め、徴収を担う宿泊事業者の負担は軽くはなく、混乱も懸念される。
 北海道の主要産業・観光の振興を目的とした新税である。公平・中立・簡素の大原則の下、幅広く理解が得られるよう制度を練り上げる必要がある。
 負担と受益の観点から、税の使途は納税者である宿泊客の意向を踏まえねばならない。道のアンケートによると、旅行で不便を感じたことは「移動手段」が最も多く、次いで「訪問先の混雑」「ネット環境」だった。
 公共交通の確保が特に求められていると言える。ローカル鉄道やバス路線の維持に加え、駅や空港から観光地を結ぶ2次交通の充実を探るべきだ。
 オーバーツーリズムは住民との摩擦を生み、その混雑ぶりに当の観光客も困惑しているようだ。対策を市町村任せにせず、道も力を入れる必要がある。
 目的税の税収を一般財源と区別するため、道は新たに基金を創設する。一部は積み立てて、感染症流行後などの旅行割引制度への活用も検討中だ。
 非常時の想定とはいえ、道民を含め広く集めた財源を事業者の収入補塡(ほてん)に充てるのは妥当なのだろうか。北海道議会では、業界に偏らず、幅広く基金のあり方を検討してもらいたい。
 道観光局は予算の大半を道観光機構に支出している。機構は宿泊税導入後も従来通りの予算確保を求めている。
税収見通しは現在の予算規模の約3倍だ。合算するなら過大ではないか。一般財源の観光局予算は規模と使途の両面から位置付けを見直す必要がある。
 宿泊税は他県でも導入が進む。沖縄県は9月に条例が成立した。税率を宿泊額の2%とし、県と市町村で分配する。税率は県内同一で分かりやすい。
 宿泊施設がほとんどなく税収を見込めない町村には、県が交付金を出す方向だ。県全体で観光振興を図る狙いだという。同様な仕組みは福岡県にもある。
 こうした事例を参考にしながら、道には宿泊税導入後も制度の不断の見直しが求められる。
 ◇訂正(2025/11/20)
 道が創設する基金の使途に関する部分で「一部は積み立てて、感染症流行後などの旅行割引制度への活用も検討中だ。北海道観光機構などが要望している」のうち「北海道観光機構などが要望している」の部分を削除します。観光機構などが要望していたのは、災害時などに備えた積立金の設置でした。
関連記事
<社説>福岡県議長辞職 疑惑解明し改革徹底を
<社説>永住許可厳格化 共生に反する排外政策だ
<社説>新学期の子ども 安心できる環境整えて
<社説>残業時間見直し 働く人の健康守れるか
<社説>死刑執行 存廃含め根本的議論を
北海道のニュースがメールで届く!ニュースレターに無料登録
AIおすすめ記事

読み込み中...