<デジタル発>山岳遭難、大幅に減らせるかも!? GPS登山履歴を活用し道迷い防止

07/29 20:09 更新

 夏山シーズンが本格化する中、登山履歴のビッグデータを活用し、山岳遭難の大きな原因になっている「道迷い」を防ごうという取り組みが始まっています。登山アプリ大手ヤマップ(福岡市)が、アプリ利用者が通ったルートなどの履歴を分析し、登山道から外れて道に迷うなどの事例が頻発する地点を特定して、昨年から公表を始めました。北海道内では、札幌市南区の天狗山(通称・定山渓天狗岳、1145メートル)で道迷いが最も多く起きていました。山岳遭難の理由の4割を占める道迷い。なぜ道に迷うのか、現地に足を運んで検証してみました。(報道センター 内山岳志)

定山渓天狗岳の熊ノ沢登山口
定山渓天狗岳の熊ノ沢登山口

[PR]


 ヤマップの登山アプリは、衛星利用測位システム(GPS)を使い、通信電波がなくても地図上で現在位置が確認できる。ダウンロード数は約310万件で、多くの登山愛好家が利用しているとみられる。歩いた登山履歴が自動的に記録されるため、登山道を外れてしまったケースも詳細に把握することができる。

 同社が今年7月に発表した「道迷いの多い山」のトップ5には、登山者が多い埼玉や岐阜、滋賀各県の山が入った。道内の山はトップ5には入らなかったが、最も道迷いが頻発していたのは定山渓天狗岳だった。同社によると、7人に1人の割合で登山道を外れる地点があったという。

GPSにより通信電波がなくても地図上で現在位置や登山道が分かる登山アプリの画面。赤い点が道迷いの多発地点
GPSにより通信電波がなくても地図上で現在位置や登山道が分かる登山アプリの画面。赤い点が道迷いの多発地点



 定山渓天狗岳は札幌中心部から車で1時間弱で行ける手軽さと、沢登りや岩登りもあるバラエティーに富んだ登山道が魅力だ。登山歴半世紀という北海道道央地区勤労者山岳連盟の西條寧(やすし)事務局長(63)に同行を依頼し、登山初心者という同僚と現場に向かった。

 札幌中心部から南区の定山渓温泉街を過ぎ、豊羽鉱山へ向かう道に入る。林道脇の駐車帯に車を止め、熊ノ沢登山口へ向かった。

林道のゲート手前に車を止め、登山口を目指す
林道のゲート手前に車を止め、登山口を目指す


 ヤマップの分析によると、道迷いが多発しているのは、熊ノ沢コースの標高およそ540メートルの地点だという。今春改定された「新夏山ガイド1」(北海道新聞社刊)によると、定山渓天狗岳のコースの中では「中級レベル」に該当するものの、迷いやすさは4段階で上から2番目の「B」となっており、比較的迷いやすいコースと言える。

 西條さんを先頭に、白井川の支流に沿って続くルートを進む。夏の緑をまぶしく感じながら、沢を何度か渡って上がる。「そろそろ代わりますか」。西條さんの声かけで、道迷いが多発する地点の手前で、定山渓天狗岳初挑戦となる同僚と先頭を交代した。

川を歩いて渡る「徒渉」を繰り返しながら進む
川を歩いて渡る「徒渉」を繰り返しながら進む


 登山口から30分ほど歩いたところで、谷が狭まり、左手に高さ5メートルほどの岩の急斜面がある場所に行き着いた。間違いなく難所といえる。ただ、ここまでは道に迷いそうな場所はなかった。ロープも設置してあり、迷いそうもないが、ここなのだろうか。

残り:1292文字 全文:2492文字

続きはログインするとお読みいただけます。

【関連記事】
⇒山岳遭難、道内はワースト2 21年、全国で2635件 東京近郊で増加
⇒滑落やクマ遭遇…山菜採り遭難相次ぐ 千歳・恵庭 携帯電話持ち複数行動を
<デジタル発>記事一覧

ページの先頭へ戻る