<社説>2022参院選 社会保障 財源含めた改革議論を

06/30 16:12 更新

 日本は少子高齢化の進行で、人口減少に適合した社会保障の再構築が差し迫った課題だ。

 支え手の現役世代は先細る一方で、「団塊の世代」全員が2025年度に75歳以上の後期高齢者となり、年金、医療、介護などの社会保障費は膨らんでいく。

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 物価が高騰する中で、高齢者が受け取る公的年金は、現行の仕組みの下で減額傾向にある。

 今年10月からは一定の収入のある75歳以上の医療費窓口負担は、1割から2割に引き上げられる。

 高齢者には限られた年金から生活費を捻出している人が少なくない。一律に負担を増やせば、貧困と格差の拡大が懸念される。

 全世代で負担と受益のバランスをどう図るのか。各党は、将来不安を解消する制度設計にもっと知恵を絞らなければならない。

 岸田文雄首相が設けた全世代型社会保障構築会議は、5月に議論の中間整理を公表した。

 子育て・若者世代への支援強化をうたい、育児休業制度の拡充や、雇用形態にかかわらず厚生年金などに加入できる「勤労者皆保険」の実現などを盛り込んだ。

 これを受けて自民党は全世代型社会保障の構築を公約化したが、財源に加え、政策の優先順位付けなどの掘り下げが足りない。

 茂木敏充幹事長は、NHK番組で消費税減税・廃止を実施した場合、年金財源が3割カットされると発言した。野党をけん制する前に政権党として自分たちの政策の根拠をきちんと示すべきだ。

 そもそも消費税増税の目的は、高齢化で増える医療・介護費の財源を確保することでもあった。

 それが安倍晋三政権は、教育無償化などにも充てた。ぶれる社会保障政策のしわ寄せを高齢者に及ぼしてはならない。

 公約で立憲民主党、共産党、社民党は、後期高齢者の医療費窓口負担引き上げの撤回、中止を掲げる。財源確保の説明は野党にも求められる。

 今後、介護保険料はさらに上昇が予想されるほか、介護職の人手不足は深刻だ。職員の待遇改善は必要だが、介護報酬の引き上げは、利用者の自己負担や保険料アップにつながりかねない。

 社会保障制度の行き詰まりは目に見えている。個人消費がなかなか活発にならない背景には、社会保障への将来不安なども影響していることを忘れてはならない。

 各党は給付の拡大策だけを強調するのではなく、財源や改革案を訴え、説明する責任がある。

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