<宇野沢デジタル委員が読み解く>北海道エネルギー考㊥ 「燃える氷」を掘り出せ、北見で始まる国産資源開発

05/26 18:21 更新

 北見市の中心部から車で10分ほど走った山の中に、2006年まで「ばんえい北見」が開催されていた旧北見競馬場があります。

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 坂を上っていくと、16年前までここに競馬場があったことを示す痕跡がまだたくさん残っていました。

北見市郊外にある旧北見競馬場。最後の開催から16年たっても多くの施設がまだ残っていた
北見市郊外にある旧北見競馬場。最後の開催から16年たっても多くの施設がまだ残っていた


 風雨にさらされ、すっかり老朽化した観客席の横に、不釣り合いなほどに幾何学的な物体が目に付きます。高さ3・7メートル、対辺間の長さが3・2メートル。巨大な金属製の8角柱が四つ設置されていました。

旧競馬場内の観客席に隣接する空き地に、金属製の巨大な8角柱が四つ設置されている
旧競馬場内の観客席に隣接する空き地に、金属製の巨大な8角柱が四つ設置されている


 山の中に造られた謎の実験場-。実はここで、日本近海に存在が確認されながら、開発の方法が確立されていない海底資源「メタンハイドレート」の掘削技術の試験が始まります。

 今年10月下旬と来年2月中旬に予定する試験に向けて、取材に伺った5月6日も、担当する北見工業大学の山下聡教授と研究室の学生が準備を進めていました。

北見工大の学生が手伝いながら、10月下旬の試験に向けた準備が進んでいる
北見工大の学生が手伝いながら、10月下旬の試験に向けた準備が進んでいる


 10月下旬には海底の軟らかい泥を模した土壌を8角柱の中に満たし、その中にメタンハイドレートを模したプラスチックボールを入れて、どれだけ回収できるかを見極めます。実験終了後は、北見の冬場の寒さを生かして8角柱の中に氷を張り、その氷を来年2月中旬に掘削することになっています。軟らかい泥と、厚さ2メートルの硬い氷という両極端な海底条件に対応できるドリルの歯の形や、回転速度を探っていきます。

 海底面近くに存在する表層型メタンハイドレートの開発に向けた研究が本格的に始まったのは2013年から。日本近海に多く存在するとみられるメタンハイドレートを回収する技術を磨き、エネルギー資源として利用することができるようになれば、現在1割程度とされるエネルギー自給率の向上につながるかもしれません。

 メタンハイドレートは「資源小国」日本のエネルギー環境のゲームチェンジャーになり得るのでしょうか。そして、北見での実験の先に、どんな将来像が描かれているのでしょうか。

■未利用エネルギー、「燃える氷」の可能性

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