<宇野沢デジタル委員が読み解く>北大生は道外勢ばかり 道産子苦戦の理由は―

05/10 19:35 更新

 JR札幌駅の北側には、広大な北海道大学のキャンパスが広がっています。

 

 学生の学びの場であるとともに、札幌市民らの憩いの場所でもあります。授業のない大型連休中は学生に代わって、たくさんの家族連れが春の陽光に芽吹く木々に囲まれたキャンパス内を散策していました。

札幌市の北海道大学のキャンパス。連休中は多くの人の憩いの場にもなっている
札幌市の北海道大学のキャンパス。連休中は多くの人の憩いの場にもなっている

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 札幌の街にすっかり溶け込んでいる北大ですが、ここ10年で入学者には大きな変化が生じています。

 

 北大は明治時代の旧帝国大学から続く全国屈指の難関大学です。充実した教育環境とネームバリューから、道内はもとより、道外からも多くの受験生が集まってきます。

 

 北大の資料から、2022年までの入学者の出身地別の割合を調べてみました。

 


 2000年代後半までは拮抗(きっこう)していた道内出身者と道外出身者の割合の差が、2010年代に入ると、拡大していることがわかります。2022年の北大の入学者に占める道内出身者の割合は32・7%でした。ここ20年で最も割合が高かった2008年の53・0%から、大きく数字が下がっています。

 

 北海道大学なのに、北海道出身の学生の割合が今は3分の1以下。なぜ、道外出身者の割合がここまで急に上昇しているのでしょうか。

 

 道内の大学受験に詳しい、河合塾札幌校の北山健一校舎長によると、背景には「北大の難関化」があると言います。

 

 「2011年の入試から北大は前期日程で、進む学部・学科を入学時には決めず、文系と理系という大きなくくりで試験をする『総合入試』を取り入れました。かつての学部・学科ごとの試験では偏差値の幅も大きかったのですが、総合入試の割合が大きくなると、偏差値が比較的高くない学部・学科の個別入試が減り、結果として北大全体の偏差値が上昇しています」

 

 総合入試が採用される前は、河合塾の偏差値で合格可能性50%のラインが52・5~55の学部・学科もかなりあったそうですが、最近はほとんどが57・5以上にレベルが上昇したそうです。

 

 入学前に明確な進路を決める必要がない総合入試の導入によって、全国からより多くの受験生が集めやすくなりました。優秀な道外出身者が北大を受験し、入学するケースが増え、その反動として道内出身者の割合が減っているようです。

 

 入学試験の種別によっても、道内生と道外生の比率は異なるようです。2022年の一般選抜の合格者の出身別比率を調べてみました。

 


 道内出身者の比率が道外出身者を大きく上回っているのは、前期試験の医学部保健学科と教育学部です。いずれも、看護師や理学療法士、教員などの仕事と直結する学部でした。また、総合入試は理系より文系の方が道外生の割合が高く、前期試験より後期試験の方が道外生の比率がより大きいことも見て取ることができます。

 

 道内出身者にとって、北大はかつてよりさらに「狭き門」になっているのでしょうか。大手予備校の担当者に聞きながら、ほかのデータからも分析してみました。

北大は道内生にとって、ますます「狭き門」に?
北大は道内生にとって、ますます「狭き門」に?

 

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