社説

修正コロナ法案 罰則より補償の明記を

01/30 05:00

 新型コロナウイルス対策を巡る特別措置法や感染症法など関連法の改正に向け、与党と立憲民主党などが政府案を修正することで合意し、きのう審議入りした。

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 焦点の一つは、入院拒否や入院先から逃げた場合、刑事罰の懲役刑や罰金を科すかどうかだった。

 憲法は国民の幅広い自由を保障する。コロナ対応では個々人の事情を考慮することも欠かせない。

 野党の要求で政府案からすべての刑事罰を削除することになったのは当然だが、修正は不十分だ。

 罰則が感染抑止にどう資するかという議論を深めずに、営業時間短縮を命令された事業者などが応じない場合、行政罰の過料を科すことを立憲民主も容認した。

 修正で過料は減額されたが問題は額ではない。罰則の必要性だ。

 後手続きの政府対応を棚に上げ、苦境にある事業者などに責任を転嫁する法改正ではないのか。

 法改正の原案を諮った厚生労働省の審議会では、委員の大半が新たな罰則導入に反対していた。

 急ぐべきは、事業者などへの十分な損失補償と医療体制の改善だ。さらなる修正が必須である。

 与野党協議を経ても損失に見合った補償措置を政府や都道府県が講じることは明記されなかった。

 効果的な支援の実施を付帯決議と国会答弁で明確にするというが、努力目標の域を出ない。これでは事業者の不安は消えない。

 改正案には、緊急事態宣言の前段階でも知事が営業の時短などを求められる規定も盛り込まれた。

 発令時には国会報告することを付帯決議に明記することになったが、発令要件は曖昧なままで、恣意(しい)的に運用される懸念は残る。

 付帯決議は与野党の妥協手段として多用されてきた。しかし強制力はなく、盛り込まれた内容が形骸化するケースは多い。

 重要な規定は法に明記するのが筋だ。付帯決議では立法府の責任を十分に果たしたとは言えない。

 医療現場では重症化した人を受け入れる病床がなく、ホテルなどで死亡するケースが増えている。

 政府は具体的な改善策が求められているのに、改正案では医療機関への病床確保の協力要請を勧告に強めるなど行政の権限強化が目立つ。医療を施す側の視点を欠いては対策の実効性は高まるまい。

 緊急事態宣言下に、自民、公明両党の幹部が銀座のクラブなどに深夜までいたことが分かった。

 国民に外出や営業の自粛を求めるさなかに、言語道断である。

 両党は厳しく処分すべきだ。

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