社説

3次補正成立 感染対策が置き去りだ

01/29 05:05

 19兆円超の追加経済対策を盛り込んだ本年度第3次補正予算がきのう、成立した。

 だが新型コロナウイルス感染の急拡大と緊急事態宣言の再発令を想定しておらず、感染防止策の費用は4兆3千億円余にすぎない。

[PR]

 より多くの予算を振り向けるのは、コロナ後を見据えた経済構造転換や国土強靱(きょうじん)化関連だ。補正は3月末までの執行が原則だが、再開が見通せない「GoToトラベル」延長に1兆円超を計上する。

 医療が逼迫(ひっぱく)する中で最優先すべき施策とは到底考えられない。

 野党が医療機関や生活困窮者への支援を強めるよう組み替えを求める動議を出したが、十分な検討をすることなく否決された。

 感染力の強い変異ウイルスの出現もあり、再拡大を見据えた医療体制整備や生活支援拡充が急務だ。新年度予算案の審議で今度こそ徹底した議論が求められる。

 国会審議で菅義偉首相は困窮者支援について、無利子の特例貸し付けなどを挙げ、国民一律の特別定額給付金の再支給を否定した。

 貸し付けの限度額まで借り切った世帯も増え、感染拡大が続けば状況はさらに悪化しかねない。

 首相は「最終的には生活保護」があるとも述べた。最後の安全網である生活保護を利用する状況に至るまでにまず施策を駆使し、支えるのが政治の使命ではないか。

 それなのに「自助・共助・公助」と持論まで展開した。収入が途絶え命を落とす人も増える中、自助を口にする時ではなかろう。

 中小企業などを支援する持続化給付金の継続や再支給も拒んだ。時短要請に応じた飲食店と取引業者への給付創設が理由だが、外出自粛の影響は幅広い業種に及ぶ。

 GoTo費用の撤回と医療支援への振り替えも、「予備費も十分確保している」と応じなかった。

 自宅療養中に死亡する感染者が相次ぎ、首相は必要な医療体制を提供できていないことを認めて陳謝したのに、理解に苦しむ。

 看過できないのは、新年度予算案も宣言の再発令や今春以降の再拡大を想定していないことだ。

 コロナ対策予備費5兆円を除くと、医療体制確保は533億円、検査体制強化は207億円にとどまり、十分とは言い難い。

 長引くコロナ禍で雇用情勢の一段の悪化も懸念される。雇用と生活を守るための支援拡充を含め予算案を柔軟に組み替えるべきだ。

 首相はGoToなど一度決めた方針に固執し、事態を悪化させてきた。同じ轍(てつ)を踏んではならない。

ページの先頭へ戻る