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<新刊と文庫>「止まった刻(とき)」など

09/01 05:00

<単行本>


◆止まった刻(とき) 検証・大川小事故 河北新報社報道部著

 東日本大震災の津波で、児童や教職員が犠牲になった宮城県石巻市大川小の事故を検証した「河北新報」の連載記事を書籍化した。教職員と児童は校庭にとどまり、避難を始めた直後、津波にのまれた。最も安全なはずの学校で起きた悲劇の原因を探る。連載記事は2018年度の新聞協会賞を受賞した。(岩波書店1836円)

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◆めぐりながれるものの人類学 石井美保著
 野外調査で世界を駆け巡る、北大卒の文化人類学者によるエッセー集。ガーナの村で感じるようになった精霊や小人の存在感を語り、京大の立て看板とタンザニアの露店の共通点を述べ、十勝岳で雪氷学者の中谷宇吉郎を思いながら不思議なことに迫る感性を考える。論文からこぼれ落ちてしまう感動や発見を精緻につづった。(青土社 2052円)

◆検診で見つかるがんの8割は良性がんである 渡辺泱著

 がんの過剰診断問題について、前立腺検診の先駆者が解説する。著者は検診で発見されるがんの8割は治療が不要な良性だとする。必要のない治療をしないよう、病気のがんと、自然消滅する病気ではないがんとを慎重に観察する「意図的監視」を提案するとともに、最新のがん予防策を紹介する。(晶文社 1782円)


<文庫・新書>


◆ルポ「断絶」の日韓 牧野愛博著
 自衛隊機へのレーダー照射事件の裏側で起きていた韓国海軍の迷走。なぜ徴用工問題は起きたのか。韓国で評価の高い中曽根康弘元首相と不人気の安倍晋三首相との違いはどこにあるのか。留学から朝日新聞の特派員を終えて帰国するまで、韓国在住9年半に及ぶ著者が、日韓のあつれきにメスを入れ徹底分析する。(朝日新書 918円)

◆現代語訳 雑兵物語 かもよしひさ訳・画

 大名に仕える足軽たちの戦場心得として書かれた古典の現代語訳。鉄砲の撃ち方・担ぎ方から、敵の首の取り方や梅干しの効能まで、太平の世に暮らす戦を知らない江戸時代の足軽たちに戦場のリアルを伝える。訳者によるイラストも楽しく、読めば戦国時代にタイムトリップできること請け合いだ。(ちくま文庫 907円)

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