北海道

<札幌 大都市育ちの野菜>上 意外? 葉物の一大生産地

07/23 05:00
青々と育ったコマツナを収穫する伊部義幸さん。一株ずつ丁寧に切り取る
青々と育ったコマツナを収穫する伊部義幸さん。一株ずつ丁寧に切り取る

 濃緑の葉がじゅうたんのように一面に広がる。観光客らが行き交う札幌市中心部から車で西へ20分ほどの西区小別沢(こべつざわ)地区。伊部義幸(いべよしゆき)さん(80)方のビニールハウスでは、コマツナが生き生きと育っていた。

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■コマツナ盛ん

 「もう収穫できる大きさだよ。今年は天気が良いから好調さ」。伊部さんは上機嫌だ。奥行き40メートルのハウス10棟でコマツナを栽培する。育てているのは「春のセンバツ」という品種。葉にボリューム感がありながら丈が伸びすぎないのが特徴で、出荷の際にビニール袋に詰めやすい。

 伊部さんは毎年春から秋にかけて3回ほど収穫し、収量は年約2トン。一株ずつ、小さい鎌で丁寧に切り取っていく。箱詰めされたコマツナは翌朝に市場で競りにかけられる。

 「4キロ500円、600円―」。今月中旬の朝6時半、札幌市中央区の札幌市中央卸売市場青果棟の一角に威勢の良い掛け声が響いた。コマツナの競りだ。道内各地から集まっているが、最も多いのは札幌産。札幌市中央卸売市場に唯一、青果を卸す青果卸売業札幌みらい中央青果によると、同社が扱うコマツナの約4割は札幌産が占める。

 札幌産コマツナは仲買人の引きも強い。理由は新鮮さ。この朝、市場に並んだ札幌産コマツナのほとんどは前日に収穫され、前夜のうちに市場に運び込まれた。茎の切り口に水滴が付いたものもあり、見るからにみずみずしい。「近くの産地から新鮮なうちに市場に入ってくるのが札幌産。お客さんも新鮮なのを好むから」。この日競りに来ていた市内の男性仲買人はそう言って2キロ入りの箱を10個ほど買い入れた。

■近さが強みに

 札幌は人口190万人の大都市でありながら野菜の生産が盛んだ。大消費地が間近にあるメリットを生かしてさまざまな野菜が作られている。

 中でも目立つのがコマツナなどの葉物野菜。コマツナの生産量は農林水産省の主要農産物に位置づけられていないためデータが取られていないが、道農政事務所によると、2017年の道内のコマツナ作付面積約171ヘクタールのうち札幌は約38ヘクタール。小さいように見えるが、JAさっぽろは「都会でこれほどの作付面積があるのは立派。生産量は道内自治体で1、2位を争っているのでは」とみる。

 ホウレンソウも道内屈指の産地だ。道によると作付面積は23ヘクタール(17年)で道内4位で、ホクレンによると生産量も146トン(18年)で4位だった。

 では、なぜ札幌は葉物野菜の生産が盛んなのだろう。(報道センターの樋口雄大が担当し、3回連載します)

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