卓上四季

新しい出発

07/22 05:00

参院選投開票日から一夜明けた。当選した候補者とその陣営には勝利の余韻が残るが、負けた側は落胆の中で後片付けが始まる▼落語家の故立川談志さんは参院議員になる前、衆院選に出て落ちた。負けが決まった夜、あいさつ回りをして戻るともう選挙事務所がない。「夜店でももう少し片付けるのに時間がかかるだろうと思ったネ」と自伝で苦笑している▼候補者にとっては戦いの終わりかもしれない。だが、選んだ側はこれでおしまいにはできない。今回も各党はいろいろ訴えた。年金、消費税、憲法―。それらがどの方向へ進むのか。しっかり見張っていないと、思わぬツケを払わされかねない▼かつて、議会制民主主義を「期限を切った独裁」と表現した政治家がいた。いったん選んだら、任期中は政治家に任せろという話だ。たしかに選挙で勝った側に決定権があるが、すべてとはいかない。投票日の前と後で、言ったこととやっていることが違う。そんな例が近ごろ多いからだ▼3年前、英国は国民投票で欧州連合の離脱を決め、米国は大統領選でトランプ氏を選んだ。それぞれ投票翌日に国内各地で起きたのは、抗議のデモだった。政治が国民の期待に応えないなら、いつでも異議申し立てはできる▼たとえ投票率が低くても、政治の主役は国民だ。投票に行った人も、行かなかった人も、きょうが新しい出発の日と考えてはどうか。2019・7・22

[PR]
ページの先頭へ戻る