公務員不信

きのうの当欄に、「異常さを異常と感じなくなった時、社会は既に病んでいる」と書いた。異常さに慣れてしまわないように、きょうも異常な話を書く。札幌市で行われた安倍晋三首相の参院選街頭演説で、ヤジを飛ばした人が、道警の警察官によって現場から排除された▼拡声器が使われたわけでもなく、これを「演説妨害」というのは無理がある。控えめに言っても、過剰な警備であり、むしろ侵害されたのは、排除された側の「表現の自由」だろう。道都の真ん中で白昼、公然と行われたことに驚きを禁じ得ない▼特に、異様に映ったのは、年金制度への疑問を記したプラカードを掲げようとした高齢女性を、屈強な警官たちが取り囲み、制止した場面だ。一連の対応を道警は「トラブルを未然に防止するための措置」と説明するが、映像や写真からは混乱の兆候はうかがえない▼根拠のあいまいな「予防」という名目で、市民の意思表示の機会が奪われたと言えよう。戦前の治安維持法下の表現統制もかくや、と思わせるやり方である▼演説日程を伏せるほど、首相がヤジや批判を嫌うことは知られている。過剰警備の背景には、例によって「忖度(そんたく)」が働いたのではないか▼奇妙なことに道警は首相支持のプラカードはお構いなしとしたようだ。政治的中立性さえ疑われるようでは、「用心棒」や「お先棒」に、たとえられても仕方あるまい。2019・7・19

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