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道警のヤジ排除 選挙ゆがめる過剰警備

07/19 05:05

 札幌市内で行われた安倍晋三首相の参院選街頭演説で、ヤジを飛ばしたり、批判の声を上げたりした2人が道警の警察官に取り押さえられ、現場から排除された。

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 道警は周囲の人とのトラブル防止のためだったと説明する。だが、演説が中断されるような混乱が生じたわけではない。

 政策批判のプラカードを掲げようとした市民団体も制止された。

 憲法が保障する表現の自由の侵害にあたる可能性が大きく、過剰警備だったと言わざるを得ない。

 選挙違反の取り締まりなどにあたる警察には厳密な政治的中立が求められる。一方的に政権批判を封じるのでは、言論を萎縮させ、選挙の公正性がゆがめられる。

 投票日は目前だ。道警は今回の行為について速やかに調査し、道民に説明すべきだ。

 排除された1人は、選挙カーから約20メートル離れた場所で「安倍辞めろ」などと叫んだ。もう1人も、同じ場所で「増税反対」などと意見を表明した。

 公職選挙法は、選挙の自由妨害の一つとして演説妨害を挙げる。1948年の最高裁判決では「聴衆が聞き取ることを不可能または困難にさせること」としている。

 2人とも拡声器は使わず、首相の演説は続行されていた。演説妨害に該当しないことは明らかだ。

 注意や警告なしに排除されたとの証言もある。過度な行為なら、職権の乱用にあたる可能性も否定できない。

 市民団体が掲げるのを阻まれたプラカードは「年金100年 安心プランどうなった?」という内容だ。一方で安倍政権支持のものは多数掲げられていた。中立性、一貫性に乏しいのではないか。

 テレビなどの政見放送と違い、街頭演説は聴衆の生の反応を受けながら行われる。その中には支持だけでなく、批判の声があるのは当たり前だ。

 安倍首相は一昨年の東京都議選で、街頭のヤジに「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と反論した。そんなやりとりも有権者が投票する上で判断材料となる。

 自由な言論空間は最大限に確保されるべきであり、警察がむやみに介入するのは不適切である。

 道警は公選法違反の有無や、プラカード掲示制止の理由について調査中としている。市民が抱く疑念の重大性を認識し、早期に説明責任を果たしてほしい。

 警察の政治的中立の欠如は民主主義の根幹に関わる。真相究明は首相はじめ政治の責任でもある。

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