社説

<2019参院選>統治の在り方 行政監視の機能強化を

07/19 05:00

 安倍晋三政権の下で顕著になったのが、首相官邸主導の1強体制と立法府の形骸化だ。与党と省庁は官邸に追随し、政権内部のチェック機能も働かない。

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 公文書の隠蔽(いんぺい)や改ざんなど、不都合な事実をなきものにするような政府の不祥事も続いた。

 議会制民主主義が危機に陥っている。国会改革をはじめとして統治の在り方を見直し、行政への監視機能を強める議論が必要だ。

 まず忘れてならないのは森友・加計(かけ)問題だろう。

 安倍首相は参院選前の公開討論会で「問題はもう終わったとの認識か」と問われ、「私も妻も直接関わっていたという証拠は何一つなかったのは事実だ」と答えた。

 しかし森友問題では国有地の8億円もの値引きに至った経緯や、財務官僚が決裁文書改ざんになぜ手を染めたのかなど、核心部分はいまだに明らかになっていない。

 加計問題では、首相と加計学園理事長が面会したと愛媛県の文書に記載されていた。双方とも面会の事実を否定するものの、首相の関与がなかったと国民が納得できる状況からはほど遠い。

 問題は終わっていないのに国会での究明を阻んできたのは自民、公明の与党の後ろ向きの姿勢だ。官邸の圧力が疑われた統計不正問題も徹底解明には至っていない。

 立憲民主党など野党5党派は国会に行政監視院を新設する法案を共同提出し、公約に掲げている。

 与党の公約にこうした項目はない。問題意識に欠けていないか。国会の行政監視は党派を超えた国民に対する責務である。

 国民の知る権利を確保するための公文書管理や情報公開も、抜本改革や充実強化が求められる。

 政府は決裁文書改ざんなどを受け、公文書管理の運用見直しと再発防止策をまとめている。

 だが、最近も安倍首相が省庁幹部と面会した際の記録を官邸では作成していないことが判明するなど、不備があるのは明らかだ。

 国民全体の奉仕者であるべき官僚の不透明な「忖度(そんたく)行政」を排除するために、中央省庁の幹部人事を一元管理する内閣人事局制度の在り方も見直しが必要だろう。

 政権交代可能な二大政党が競い合い、首相の権限を強化して政策を実行する―。平成の政治改革が目指した姿だが、現状は「強い首相」の弊害ばかりが目立つ。

 行政府と立法府の権力のバランスを取り戻すことを、令和の改革の第一歩にしなければならない。

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