北海道

突然包囲、2時間見張られ… 首相へのヤジ排除「恐怖感じた」「異様」

07/20 08:00 更新
大杉さんや「うんざり」と書いた紙を掲げる人の周りを取り囲んだ警察官=15日午後4時40分ごろ、札幌市中央区のJR札幌駅前
大杉さんや「うんざり」と書いた紙を掲げる人の周りを取り囲んだ警察官=15日午後4時40分ごろ、札幌市中央区のJR札幌駅前

 札幌市中央区で15日、安倍晋三首相の街頭演説中に声を上げたとして、道警の警察官らに現場から引き離された男女は17日、北海道新聞の取材に対し「まさかこんな目に遭うとは」と当時の様子を証言した。政権に疑義を投げ掛けるプラカードを掲げようとして警察官に制止されたという市民団体も「異様だった」と憤った。

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 「なぜ自由を奪われたのか。日本でこんなことが起こるなんて」。大学4年の女性(24)は声を震わせた。JR札幌駅前での首相の演説中、聴衆の後方から「増税反対」と叫んだ。政権に不満や不安を伝えたくて、意を決して初めて上げた声だった。だが、すぐに警察官に囲まれ、両脇を抱えられるように隅に追われた。数えると8人いた。

 首相は次の会場の札幌三越前に移動したが、女性は警察官から「(あなたは)危害を加えるかもしれない」と言われ、行く手を遮られた。逃れたくて200メートル先のレンタルビデオ店に向かったが、店に着くまで女性警察官に腕を組まれたまま。中に入っても外に立っていた。

 警察官がそばから離れたのは約2時間後という。首相は既に演説を終え、札幌市中心部を後にしていた。「罪を犯したわけでもないのに…」。今もそのショックは消えない。

 もう一人、札幌市の団体職員大杉雅栄さん(31)は札幌駅前と札幌三越前でそれぞれ警察官に移動させられた。困窮世帯を支援するNPO職員として、「生活保護基準が引き下げられるなどの政策に、批判の声を上げたかった」と大杉さん。「学生時代からデモに参加しているが、注意や警告なく排除されたのは初めて。首に警察官の手か腕が当たり、恐怖を感じた」

 選挙の演説妨害について、最高裁は1948年の判決で「聴衆が聴き取ることを不可能、または困難にさせること」とした。演説会場にいた北星学園大の岩本一郎教授は「首相の演説はしっかり聞こえ、ヤジの影響はなかった」と話す。

 「年金100年 安心プランどうなった?」。そう書いたプラカードを掲げようとした市民団体の女性は突然、7、8人の警察官に囲まれた。警察官は「どこから来たの? 札幌市?」などと聞いてきたという。

 ただ静かに、プラカードを掲げようとしただけだ。警察官は「道路に飛び出したら危ないから」と意味の分からないことをいい、それを阻んだ。「演説を妨げてないし、言葉も発してないのに、息がかかるくらいの近さで取り囲まれた」と女性。一方で「安倍総理を支持します」というプラカードは、たくさん見えた。

 岩本教授は「政権支持の意見は問題視せず批判を制限したとすれば、中立性が求められる警察としてあるまじき行為」と指摘する。道警は「プラカードの内容に警察が反応することはありえない」としている。

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