社説

<2019参院選>IR誘致 北海道に必要か吟味を

07/18 05:05

 安倍晋三政権は、カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)を成長戦略の柱と位置づける。

 しかし、IRの道内誘致を巡っては、道民の賛否が大きく割れている。

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 ギャンブル依存症に対する不安もさることながら、賭博のもうけを地域振興に利用することへの疑念が払拭(ふっしょく)されていないからだ。

 巨大施設の建設に伴い、北海道の大きな魅力である自然環境が損なわれる心配もある。

 カジノは北海道にふさわしいか。道内の各党、各候補者には、この根源的とも言える疑問に答える議論を求めたい。

 道は苫小牧市をIR誘致の優先候補地とする考えをまとめる一方で、鈴木直道知事は是非の判断を下していない。

 苫小牧市の構想では植苗地区の森林を予定地とし、札幌ドーム160個分の敷地面積を想定する。

 予定地はラムサール条約の登録湿地であるウトナイ湖が近い。大規模な森林伐採が行われると、湖の水位低下や野鳥の生育環境悪化を招く恐れがあると、専門家から指摘されている。

 道内観光の売りの一つは、豊かな自然である。IRの開発が、その観光資源にダメージを与えるのなら元も子もない。

 道選挙区の候補者は、観光を北海道の産業振興の主力に据える点ではほぼ共通する。そうであれば、道内観光を発展させる上で大切なことは何かを、いま一度考える必要があろう。

 施設の規模は自然環境への影響だけでなく、採算面でも強い懸念が出ている。

 IR整備法施行令は、施設内に設けるホテルの客室面積を10万平方メートル以上と規定する。

 国内にある既存の大型宿泊施設をはるかに超える規模になる。道内でこれを満たす需要を喚起するのは難しいだろう。

 道の試算では、来場者の8割が日本人で、その大半が道民とみている。外国人観光客を呼び込むという政府の説明は根拠が薄い。

 依存症対策は、政府が「世界最高水準」と胸を張る規制でさえ、最大72時間もカジノに居続けることができる。効果は疑わしい。

 施設周辺の治安悪化も危惧されている。

 IR誘致に賛成する候補者も依存症対策や治安確保の必要性を訴えるが、具体策は乏しい。疑問に正面から向き合い、未来を見据えた議論を深めてほしい。

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