社説

<2019参院選>アベノミクス 国民を豊かにしたのか

07/17 05:05

 安倍晋三政権の6年半、自民党は国政選挙のたびにアベノミクスを公約の目玉に据えてきた。

 だが今回は「アベノミクスのエンジンを最大限にふかす」などの威勢の良いかけ声は聞かれない。

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 「2%(の物価上昇)だけを達成すればいいわけではない。大切なのは実体経済をよくすること、つまり雇用だ」。安倍首相は先の党首討論会でこう強調した。

 2%の物価上昇目標は当初、2年間で達成すると主張していた。しかも首相が高さを誇る有効求人倍率は少子高齢化により職を求める人自体が減り、押し上げられたとも指摘される。

 2%目標の妥当性を検証することなく、政権に都合の良い数字を持ち出し、アベノミクスの成果と訴えているように映る。

 財政悪化や、超低金利による地方銀行の経営難などアベノミクスがもたらす副作用も積み重なる。

 各党とも現実に向き合い、経済政策を論じる必要がある。

 アベノミクスは《1》大胆な金融緩和《2》機動的な財政出動《3》成長戦略―の「3本の矢」から成る。

 日銀は柱となる金融緩和策で物価目標達成に向け、国債や株を買い入れた。

 円安、株高が進み、輸出型大企業や株を持つ富裕層が潤った。

 一方、政権の想定に反して、大企業などから富がしたたり落ちるトリクルダウンは起こっていない。物価変動の影響を除いた実質賃金も低迷したままだ。

 それでも政権は日銀と一体となってアベノミクスを「加速」させてきた。与党は多くの国民が景気回復の実感を持てないことをどう説明するのだろうか。

 副作用も深刻さを増している。

 日銀が保有する国債の残高は全体の4割以上を占める。上場投資信託(ETF)を今のペースで買い進めると来年中には日本株の最大の株主になる見通しである。

 日銀が国の借金を事実上引き受け、株価を支える異常事態だ。

 日銀はいずれ国債も株式も償還や売却などの形で手放さなければならない。政治に求められるのは、市場を混乱させずにその道筋をどう付けるかである。

 野党はアベノミクスを批判し「家計重視」などを掲げる。格差是正へ所得の再分配は重要だ。

 アベノミクスをどう脱し、国民一人一人が豊かさを実感できる社会にするか。各党はこの点についても具体策を示してほしい。

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