社説

<2019参院選>JR路線見直し 国の責任を問う視点で

07/15 05:01

 今回の参院選で道選挙区の大きな論点になっているのが、JR北海道の路線見直し問題である。

 JRは3年前、「単独では維持困難」とする赤字13区間を公表した。このうち5区間を廃止・バス転換し、8区間は財政支援を前提に存続する方針を沿線自治体に示している。

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 13区間の総延長は1237キロと道内鉄道網の半分に達し、地方の暮らしに大きな影響が及ぶ。そもそも鉄路維持のために、なぜ道民が重い負担を強いられるのか。

 各候補は国が主導した国鉄改革の問題点を検証し、地域格差是正の視点で解決策を論じるべきだ。

 JRが公表した長期経営ビジョンから推計すると、8区間を存続するための道と沿線自治体の負担額は毎年40億円に上る。

 過疎化が進み、財政悪化の著しい市町村が永続的に拠出するには重すぎる負担と言えよう。

 8区間は、1キロ当たりの1日平均輸送人数が2千人に満たず、収入の3倍から10倍の運行経費がかかる大幅な赤字路線だ。存続のため、地元にお金を求めるのは一見理屈が通っているかに思える。

 だが、JRは「わが国の基幹的輸送機関として果たすべき機能を効率的に発揮させ」「国民生活及び国民経済の安定及び向上を図る」(国鉄改革法第1条)目的で誕生した国策会社である。

 国鉄改革の枠組みをつくった国の責任をあいまいにしたまま、道民に負担を押しつけるようなことがあっていいはずがない。

 1987年のJR発足時から、三大都市圏を基盤とする本州3社と、鉄道事業の赤字を見込む北海道、四国、九州の「三島会社」との経営格差は明らかだった。

 このため国は、旧国鉄債務のうち14兆円の返済を本州3社と貨物に義務付ける一方、三島会社には計1兆3千億円の経営安定基金を渡し、その運用益で鉄道の赤字を埋める仕組みをつくった。

 ところが年7・3%を想定した長期金利は、アベノミクスの異次元緩和策で0%近辺にまで低落。経営安定基金は運用難に陥り、国鉄債務返済の負担は和らいだ。

 JR北海道の経営危機は、こうした国の制度設計のほころびに根本原因があり、国主体で支援に取り組むのが筋である。

 道選挙区の候補者は総じて国に支援の拡充を求めていく考えを示している。今後の選挙戦では、国の責任を論じた上で具体的な支援の枠組みを提案してほしい。

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