社説

<2019参院選>近隣外交 懸案解決の道筋見えぬ

07/14 05:05

 安倍晋三政権は歴代最長を視野に入れるが、ロシアや北朝鮮など近隣諸国との懸案についてはいっこうに解決の道筋が見えない。

 参院選で自民、公明両党は安定した外交や国際的なルールづくりを主導した実績を示し、20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)で果たした議長国のリーダーシップも訴えている。

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 だが外交上の演出や存在感を強調するより、足元の問題の解決が先だ。その姿勢が足りない。

 自公政権でまず問われるべきは、北方領土問題を巡る政府方針の事実上の転換である。

 過去の政府間合意の中で1956年の日ソ共同宣言だけを重視し、歯舞群島と色丹島の2島返還を軸にした交渉にかじを切った。

 さらにロシア側を刺激しまいと国後、択捉を含めた四島が日本固有の領土であるという歴史的事実も口にしなくなった。

 誤った姿勢である。

 これに対し、自民党は公約で北方領土が「わが国固有の領土である」と明記した。ならば党は政府の方針を改めさせるべきだ。

 政府は「交渉に影響がある」として領土を巡る協議内容の詳細を明らかにしていない。譲歩を重ねながら秘密裏に進めるのは危うい。

 これを追及するのは、野党の責任である。

 北朝鮮問題を巡り、首相は金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長に前提条件なしの会談を呼び掛けているが、具体的な動きはない。

 一方、立憲民主、国民民主、共産、日本維新の会、社民の野党5党は公約に北朝鮮問題の解決を掲げるものの、具体策に乏しい。政権の一連の交渉を検証し、どう取り組むべきかを示す必要がある。

 韓国との対立では、日韓合意や日韓請求権協定を順守しない韓国政府の対応に問題も多い。

 しかし、植民地時代の歴史を鑑みれば、一方的に相手の非を指摘するだけでは溝はなかなか埋まるまい。

 沖縄県・尖閣諸島の国有化を機に冷え込んだ日中関係は改善機運にある。だが、中国は尖閣周辺での領海侵入を続け、南シナ海での軍事拠点化も着々と進めている。

 中国の軟化は、米中対立の激化を受け、日米同盟にくさびを打つ一時的なものとの見方もある。

 不公正な商慣行の改善も含め、中国には言うべきは言う姿勢が欠かせない。米中2大国のはざまで、日本が取るべき対中外交のあり方も参院選の重要な争点である。

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