北方領土

首相、文書発表に固執 検証6.29日ロ首脳会談 「成果」求め直前に直談判 ロシア非公表 「元島民支援」は断念

07/14 05:00
首相、文書発表に固執 検証6.29日ロ首脳会談 「成果」求め直前に直談判 ロシア非公表 「元島民支援」は断念

 首相安倍晋三とロシア大統領プーチンは6月29日の首脳会談で、1956年の日ソ共同宣言を基礎とした平和条約締結交渉の継続を確認し、日本政府はこの内容を初めて明記した成果文書「プレス発表」を公表した。しかしロシア側は2週間たった今も公式文書として発表していない。背景には、「成果」の演出にこだわる日本側と、ロシア側の激しい駆け引きがあった。

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 「会談後、文書を発表したい」。首脳会談を数時間後に控えた29日午前。安倍は大阪で開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の会場内でプーチンと接触し、成果文書の発表を直談判した。「2年半ぶりのプーチン来日時に文書さえ出せなければ、交渉は完全に失速してしまう」(官邸筋)。安倍には強い危機感があった。

 プレス発表は《1》日ソ共同宣言を基礎とした交渉を「引き続き進めていく」《2》四島での共同経済活動の協議進展を「歓迎」する―という過去の首脳合意を再確認した2項目にすぎない。それでも昨年11月に四島返還から2島返還を軸とした交渉へと大きくかじを切った対ロ戦略が行き詰まり、平和条約締結交渉の停滞が鮮明になる中、参院選を控えた安倍には貴重な「成果」だった。

 プーチンは安倍の胸中を推し量るように、差し出された文案に静かに目を通し、提案を受諾。土壇場で文書発表の流れが固まった瞬間だった。

 成果文書を巡る日ロ間の事前調整は、事実上決裂していた。大統領補佐官のウシャコフと外相のラブロフは「文書を作成する必要はない」との方針を早々に確認。首脳会談前日の28日の外務次官級協議でもロシア側は首を縦に振らず、日本政府内に「文書の発表は困難」との認識が広がった。

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