卓上四季

都市部のクマ

07/14 05:00

道内で動物が地名に使われるのは珍しくない。上川管内の鷹栖町は「大きな鳥の棲(す)むところ」という意味のアイヌ語を意訳した。夕張市には鹿の谷という地区がある。昔は群生していたのだろう▼札幌、江別、北広島の3市が接する辺りには熊の沢という場所がある。熊沢という人が住んでいたからとの説もあるが、開拓時代からクマがよく出没していたのは確かなようだ▼昭和40年代ごろから団地造成が始まり、急速に都市化が進んだ。隣接地域は原始の森を残した野幌森林公園として整備され、人々の憩いの場となっている▼その森で先月、ヒグマが確認された。78年ぶりのことだという。恵庭方面から森を伝って、やってきたと考えられている。この地域の郷土史誌には、北広島の方から来たとみられるクマを撃ち捕った話が出てくるだけに、古い「クマ道」でもあるのだろうか▼親離れしたばかりの若いクマで、人を見ると逃げていたが、だんだん人里に慣れてきたようにもみえる。周辺では、イベント中止が相次ぐなど警戒が続いている。トウモロコシの収穫シーズンとなって、農作物の被害拡大も心配だ▼順番からすれば、先に住んでいたのはクマの方だが、人に危害を加えるようになるのではそうも言っていられない。注意深く動きを観察しながら、元居た場所に戻るのを待つことができるかどうか。人とクマの知恵比べとなりそうだ。2019・7・14

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