卓上四季

有志連合

07/12 05:00

ルイス・キャロルが創造した不思議な世界には、英国の童謡マザーグースに基づくキャラクターがしばしば登場する。中でも奇天烈なのは、鏡の国に迷い込んだアリスが遭遇するハンプティ・ダンプティという卵のような男だ▼「僕が言葉を使う時は、その言葉は、僕が意味をつけるような意味になる」と言い放つ。抗議するアリスに対して、「問題は、どっちが主人になるかということだけだ」。何でも主人の言う通りとうそぶく怪人は、気に入らない意見や批判を「フェイク」と決めつける超大国のリーダーを想起させる▼トランプ大統領の意向を受け、米国は、イラン沖のホルムズ海峡などを航行する船舶の安全確保のため、多国籍の有志連合を結成する方針だ。中東の原油に依存し、トランプ氏から名指しされた日本も参加を迫られよう▼有志と言えば聞こえはいいが、米国が同盟国に踏み絵を迫り、盟主への忠誠度を試すのである。米軍主導の護衛活動を、イランが軍事的な包囲網と受けとれば、一触即発の危機となろう。そもそもの発端は、イラン核合意からの米国の一方的な離脱だ▼安倍晋三首相は、トランプ氏との親密な関係を誇示してきた。自ら名乗り出たイランとの仲介役を責任を持って果たしてはどうか▼ただし、世界を股に掛けて傍若無人に振る舞うハンプティ・ダンプティの辞書には、「ソンタク」という字はないようだ。2019・7・12

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