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7月から変わる遺産相続 改正ポイントは

06/24 09:00
7月から変わる遺産相続 改正ポイントは

 遺産相続の仕組みが約40年ぶりに大きく改正され、今年から来年にかけて順次施行される。7月1日には、遺産分割前に亡くなった人の預貯金から一定の割合で払い戻しを受けられる制度が新設されるほか、法定相続人以外が亡くなった人の介護などをしていた場合、相続人に金銭の請求ができる制度もスタートする。7月実施分を中心に改正のポイントをまとめた。(編集委員 福田淳一)

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 今回の改正は社会の高齢化に対応し、相続財産となる家に住み続ける配偶者の居住権を認めるなど、財産を残す人が亡くなった後の配偶者の生活に配慮した点が特徴だ。相続分野の規定を見直す改正民法などが昨年成立し、来年7月にかけて順次施行される=表=

 まず今年1月、自筆証書遺言の要件が緩和された。それまで全文を自分で書く必要があったが、財産目録についてはパソコンで作成したり、預金通帳のコピーを添付することが認められ、作りやすくなった。

 ■預貯金払い戻し可能に

 7月には、遺産分割前の預貯金に関する払戻制度が新設される。これまでは2016年12月の最高裁の決定により、財産を残した人の葬儀の費用などが必要な場合でも、遺産分割協議が終了する前に単独での払い戻しは認められていなかった。

 今回の改正では、預貯金の一定割合は家庭裁判所の判断を経ずに、法定相続人単独でも上限を設けて払い戻しが受けられることになった。対象は各口座ごとに残高の3分の1に法定相続分をかけた額。例えば預貯金が600万円で法定相続人が子ども2人だけの場合、1人当たりの法定相続分は2分の1なので100万円となる。一つの金融機関から払い戻しを受けられるのは計150万円までだ。

 制度の利用について北洋銀行の担当者は「亡くなった人や相続人全員の戸籍謄本がいるなど注意が必要なので、まずは窓口で相談を」と呼びかける。

 ■相続人以外にも寄与分

 また法定相続人の配偶者などが、亡くなった人の介護をしていた場合、相続人に金銭の請求ができる制度も1日から始まる。従来、介護などでの貢献は「寄与分」として多めに相続できる制度があるが、対象は法定相続人に限られていた。

 義理の親を介護してきた相続人の妻らの苦労に報いる制度だが、貢献を客観的にどう評価するのか。相続に詳しい札幌の工藤皓也司法書士は「現在の寄与分制度と同様、厳しい基準になるものと予想されるが、今後の判例に注目していきたい」と話す。

 婚姻期間が20年以上の夫婦間での居住用不動産の贈与などに関する優遇措置も1日から始まり、配偶者はより多くの財産を取得できるようになる。

 ■来春、配偶者に居住権

 さらに来年4月には配偶者居住権が新設される。亡くなった人の家に住んでいた配偶者は、遺産分割で配偶者居住権を取得することで、その建物に住み続けることが可能になる。

 また来年7月には、これまで紛失などの問題があった自筆証書遺言を法務局が保管する制度もスタートする。

 ◇遺言書◇
 主に自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類がある。自筆証書遺言はいつでも自分の意志で作成することができ、手軽で自由度の高い制度。公正証書遺言は法律の専門家である公証人が作成し、原本が公証役場に保管されるため信頼性が高いとされる。

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