発信

<上砂川 高齢化率50%の町>上 「おせっかい」で支え合い

06/25 10:49
「カフェまちなか」で折り紙を楽しむ地域住民や認知症の人たち。オレンジ色のエプロンを着けたケアサポーターが声を掛ける=17日
「カフェまちなか」で折り紙を楽しむ地域住民や認知症の人たち。オレンジ色のエプロンを着けたケアサポーターが声を掛ける=17日

 「夕べ、家の電気ついてなかったけど、どうしたの」「友達と温泉行ってたのさ」。今月17日、空知管内上砂川町の町民交流施設に独り暮らしの高齢者や認知症の人たちの元気な声が響いた。周囲ではオレンジ色のエプロンを着けた60~80代の「ケアサポーター」が、参加者に声を掛ける。ちょっと、おせっかいだ。

[PR]

■カフェで交流

 町地域包括支援センターが2017年度から毎月開く「カフェまちなか」の光景だ。同町は5月末現在、人口2940人、高齢化率50・71%と町民の過半数を65歳以上が占める。カフェは高齢者の外出機会づくりと認知症予防などが目的で毎回40人ほどが参加、お茶や折り紙などを楽しむ。

 運営を支えるのは、事前に同センターから認知症の人の特性や接し方を学んだケアサポーター23人。交代でカフェに参加し、参加者とのたわいもない会話から高齢者の生活の悩みや、認知症の疑いのある人を見つけ、町の支援につなげる。

 経験を積んだケアサポーターは昨年から、「自分たちの地域でも」と町内各地の集会所などでカフェ「2号店」「3号店」を不定期で開催。これまで遠くて通えなかった住民や福祉施設の入居者も参加、新たな交流の輪が生まれた。高齢者の自主的な活動が評価され2月には認知症患者を支援するNPO法人全国キャラバン・メイト連絡協議会(東京)から「認知症サポーター優良活動事例」として道内で唯一表彰された。

■炭鉱町の気風

 町では1987年に炭鉱が閉山し、労働人口が流出。独り暮らしや夫婦のみの高齢者世帯が多く残り、町内会や老人クラブの活動が下火になった地域も。そんな中、町内下鶉(しもうずら)地区ではカフェ2号店立ち上げを機に住民の交流が深まり、除雪や高齢者の見守りを行う動きが出てきた。同センターの内野奈穂子保健師(45)は「かつて炭鉱住宅で隣近所が家族のように支え合った炭鉱町ならではのおせっかいが、カフェの活動にも生かされている」と話す。

 ケアサポーターの佐藤政博さん(79)は「今まで高齢者は支えられる側だと思っていたが、この活動を通して、自分はまちづくりの担い手なのだとやりがいを感じるようになった」と喜ぶ。カフェのテーブルでは、佐藤さんと参加者たちが意気盛んに話していた。「俺たちは支えられているんじゃない、このまちを支えているんだ」―。

 上砂川町では高齢者もまちづくりを担う一員として、生き生きと暮らす。町と住民が一丸となっての取り組みは、旧産炭地で急速に進む人口減少と高齢化への危機感から始まった。(滝川支局の若林彩が担当し、3回連載します)

ページの先頭へ戻る