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体罰禁止法成立 でも足りぬ児童福祉司 増員具体策乏しく 経験者やOB頼み

06/19 13:21 更新

 児童相談所の体制強化や、親による「しつけ」名目での体罰を禁じる児童虐待防止法と児童福祉法の改正案が18日、参院厚生労働委員会で全会一致で可決。19日の参院本会議で可決、成立した。札幌市で池田詩梨(ことり)ちゃん(2)が衰弱死し、母親と交際相手が逮捕されるなど、全国で繰り返される虐待事件の防止を目指す。ただ、児相の人手不足や業務の集中など根本的な課題への対応策は十分に示されておらず、悲惨な事件の再発を防げるかは不透明だ。

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 「子供の命を守ることを最優先にあらゆる手段を尽くし、児童虐待根絶に向け総力を挙げる」。安倍晋三首相は18日の参院厚労委で、実効性のある対策を盛り込んだと強調した。改正案は成立後、一部を除き2020年4月に施行される。

 児相の体制強化では、一時保護を行う職員と保護者の相談などを担う職員を分け、虐待を受けた子供のけがの程度などを迅速に把握できるよう、各児相に医師と保健師両方の配置を義務化する。親権停止などを円滑に行えるよう弁護士から日常的に助言を受けられる体制も整える。子供の命が危険にさらされないよう介入機能を強化するのが狙いだ。

 こうした対策の実現に不可欠なのが、児相職員の人手不足の解消だ。国は昨年12月に、17年度に3240人だった児童福祉司を、22年度に約2千人増の5260人まで増やす計画を発表。改正案にも「(児相の)虐待相談対応件数が過重なものとならないよう必要な見直し」を行うことを盛り込んだ。

 厚労省によると、児童福祉司を2千人増員することで、1人当たりの業務量(非行対応など含む)が、現在の50件程度から40件程度に減る。しかし、国会で40件が適正な業務量か問われた担当局長は「かっちりした根拠は、なかなかない」と曖昧な答弁に終始した。

 また一定の実務経験か社会福祉士などの資格が求められる専門職の児童福祉司の増加は近年、年間100~200人前後だ。「本当に2千人も確保できるのか」との質問には、「児相配属経験者の再配置やOB職員の再任用、関連団体に協力を呼びかける」と述べるにとどまり、具体的な方策を示せていない。(井上雄一)

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