卓上四季

絶滅と省エネ

06/16 05:00

綿矢りさの小説「勝手にふるえてろ」の主人公は26歳の女性。インターネットで絶滅した動物のことを調べるのが趣味だ▼恋愛は下手で、片思いの彼とのロマンスを妄想し現実世界に順応できない。「好きな人と結婚したいと思うあまり、どんどん年を取って生殖の機会を逃そうとしている」自分は、滅びゆく種なのかとつぶやく▼滑稽な話と思いつつ、ふと考えた。生物が絶滅する原因は何か、と。北広島市などで化石が見つかったステラーカイギュウは、乱獲により絶滅した種として小説に登場する。恐竜の絶滅は、隕石(いんせき)が地球に衝突し氷河期が訪れたためとの説が有力だ▼「深読み!絵本『せいめいのれきし』」(岩波科学ライブラリー)によると、運命を分けたのは省エネだった。食料が激減した時は大型動物がより影響を受ける。鳥類や哺乳類が生き残れたのは体が小さく、必要とする食料が少なくて済んだためだ▼地球上の生物はこれまで5回の大量絶滅を生き延びたが、現在6回目に入ったとされる。著者で国立科学博物館の真鍋真標本資料センター長は「人類は大量絶滅の歴史を知り、いま置かれている状況を理解すべきだ」と警鐘を鳴らす▼気になるのは昨今の気候変動。ホッキョクグマは餌を失い、危機にさらされるとか。小説の主人公のように、現実から目を背けているうちに、人類自体が絶滅危惧種にならないか心配になる。2019・6・16

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