卓上四季

やってる感

06/15 05:00

「ジミーちゃんやってる?」「やってる、やってるー」。お笑いタレントジミー大西さん得意のギャグだ。何をやるのか意味は分からないが、そのノリの良さでつい笑ってしまう▼「アベノミクスっていうのは『やってる感』なんだから、成功とか不成功とかは関係ない」―。政治学者の御厨貴さんは、芹川洋一さんとの共著「政治が危ない」で、安倍晋三首相のそんな言葉を紹介する▼成果はゼロでもいい。懸命にやっている雰囲気を示し、国民の支持をつなぎとめる、ということか。「やってる、やってるー」と、勢いだけで笑いをつかむギャグに、何やら重なる▼最近の外交政策も、「やってる感」醸成に躍起になっているように見える。「必ず終止符を打つ」と大見えを切った北方領土問題に進展はない。北朝鮮の拉致問題でも「果断に行動する」と言いながら、解決の道筋は見えない▼そういう意味では、イラン訪問は米国とイランの仲介役として存在感を示す好機だった。しかし、このタイミングで米側は追加制裁を発表した。イラン側も強硬姿勢を崩さない。その上、イラン沖では日本のタンカーが何者かに攻撃された。「地域の平和に向けた大きな前進」との首相の言葉が、むなしく響く▼ただ、両国の橋渡しは今回限りではあるまい。緊張緩和に向け期待するのは、日本による粘り強い働きかけだ。もう「やってる感」はいらない。2019・6・15

[PR]
ページの先頭へ戻る