卓上四季

イージス・アショア

06/13 05:00

内輪の話で恐縮だが、事件や事故が起きると、新聞記者はまず現場に走る。自分で見ることで状況の理解が深まり、警察や消防の発表にない事実に気付くこともあるからだ▼安易に電話取材で済ませた原稿は、筆者に問い合わせればすぐ分かる。自分の目で見ていないから、詳しく状況を説明できない。当然「現場に行ったのか」と、雷が落ちる▼北朝鮮のミサイルを想定した地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の設置計画を巡っては、誰かに雷が落ちたのだろうか。秋田市を東日本唯一の適地とした防衛省の調査結果に、重大な誤りがあった▼適地探しの中で周囲の山の高さを現地で測定せず、バーチャル地球儀ソフトで計算した。ところが、縮尺を間違えたため、9カ所で実際より高くなってしまった。その結果、弾道ミサイルを探知するレーダーの障害になるとして、配備は不適と判断された▼施設は他国の攻撃対象になりかねない。市民の命にもかかわる。ずさんな調査内容に、住民が強く反発するのは当然だ。「適地」は、秋田市の市街地に隣接し、周囲には学校や病院、官公庁がある。防衛省の調査は本当に現地に足を運んで行われたのか、疑いさえ持ちたくなる▼配備計画は施設が本当に必要かどうかも含め、ゼロから調査をやり直すのが筋だ。そうでなければどこが候補地になっても、住民の理解は、決して得られない。2019・6・13

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