社会保障

就職氷河期世代 息長い支援が欠かせぬ

05/31 05:00

 長い間、指摘されてきた懸案に対し、政府がようやく重い腰を上げた。「遅すぎる」との声が上がるのも無理はない。

 厚生労働省は、「就職氷河期世代」への集中支援策を公表した。就職や正社員化など安定した雇用につなげるため、都道府県と企業が連携し、実施計画や目標を定めて達成を目指す。

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 策定作業は、3月に安倍晋三首相の指示を受けて始まった。6月にまとめる経済財政運営の指針「骨太方針」に盛り込み、3年間で集中的に進めるという。

 急ごしらえの感は否めず、わずか3年間では、どの程度改善できるかおぼつかない。

 肝心なのは、当事者一人一人が抱える事情に合わせ、安心できる将来像を描けるよう息の長い支援を行うことだ。

 掛け声倒れに終われば、参院選向けに聞こえのいい政策を並べたと批判されても仕方あるまい。

 1990年代半ばから約10年間は就職難が常態化し、この時期に高校や大学を卒業した人たちが就職氷河期世代と呼ばれる。

 現在30代半ばから40代半ばで、正社員を希望しながら非正規で働く人は約50万人、仕事をしていない人も約40万人に上る。

 所得が少なく、社会保険料を十分払えずに、低年金や無年金で困窮する恐れもある。

 就職氷河期のきっかけは不況だとしても、問題を一層深刻にしたのは非正規雇用の増加だ。

 政府が規制緩和で非正規を拡大し、企業が雇用の調整弁として利用した経緯を忘れてはならない。

 支援策は、就労支援のノウハウを持つ業者に教育訓練を委託し、ハローワークに専門窓口を設置する。運輸や建設など人手不足の団体と連携し、短期間での資格取得を支援するといった内容だ。

 首相が指示を出す場となった経済財政諮問会議で、民間議員の提出した資料には「(この世代は)人生再設計第1世代」といった無神経な言葉が記されていた。

 人手不足の業種で穴埋めに使う安易な発想があるのではないか。

 同一労働同一賃金に基づく賃上げや待遇改善、就労支援に加え、社会保険の拡充など社会保障と一体の取り組みが欠かせない。

 ニートや引きこもりになった人には、地域若者サポートステーションにおける支援対象を40歳未満から50歳程度まで引き上げる。

 就職期のつまずきから自信を失った人もいるだろう。より丁寧な対応が求められよう。

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