卓上四季

相聞歌

05/26 05:00

新しい元号「令和」の引用元となったことで、書店では万葉集がにわかに人気を集めている。関連本は売り切れ、増刷がかかる勢いだとか▼難しそうだと思う人も、一度手に取ってみたらいい。万葉集には「部立て」というテーマ分類がある。特に、親しい人が詠み交わす「相聞」は共感できるはずだ。多くが恋愛をテーマとするためである▼笠郎女(かさのいらつめ)は「我が命の全(また)けむ限り忘れめやいや日に異(け)には思ひ増すとも」と、命の限り忘れない、恋しさが募ることはあっても、と詠む。磐姫皇后(いわのひめのおおきさき)は「ありつつも君をば待たむうちなびく我が黒髪に霜の置くまでに」と、白髪になるまであなたを待ち続けると歌う▼そんな熱い思いは、時を超えても変わらないようだ。本紙「中高生まなぶん」で連載する「中学生の相聞歌」では、生徒たちがみずみずしい感性を歌に込める▼「大好きなあの先輩の好きな人私じゃなくて3年生です」(中2・女子)。卒業式翌日の作品だそう。「パッと見て君がアイツと話してて今日一日はアイツを嫌って」(中3・男子)。好きな気持ちは、万葉歌人にも負けてはいない▼いずれも、島根県の中学校で国語を教える桔梗亜紀教諭の授業で詠まれた。万葉集ブームを機に、中高生も短歌に挑戦したらどうだろう。最初は中学生の相聞歌を参考にしたらいい。普段は口にできない思いも、三十一文字なら伝えられるかもしれない。2019・5・26

[PR]
ページの先頭へ戻る