社説

空き家の増加 廃屋にしない予防策を

05/25 05:00

 全国の空き家の数が過去最多を更新した。

 総務省が5年に1度行っている住宅・土地統計調査で、昨年10月時点の空き家は846万戸に上り、前回に比べ26万戸増えた。

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 道内は37万8千戸でやや減ったものの、人口減少で生じる空き家の対策に苦慮する自治体は多い。

 放置された空き家は防犯や景観に悪影響を及ぼすだけでなく、災害時には瓦解(がかい)する恐れがある。道内では雪の重みによる倒壊に加え、落雪が通行人や近隣の建物に被害を与えることも懸念される。

 老朽化した空き家の解体・撤去を進めるだけでなく、居住できない廃屋にならないよう、予防策を講じる必要がある。

 今回の調査は、外観を基準に居住可能な家屋のみを数え、廃屋を含んでいない。人が住めない家屋を加えれば、数はもっと膨らむとみられる。

 空き家の増加には、政府が景気対策として住宅ローン減税など新築重視の政策を続けてきた影響も大きい。

 これ以上増やさないようにするには、住宅の適切な維持管理やリフォームに重点を移し、良質な中古住宅市場の形成を促す方向へ政策転換を図るべきだろう。

 より深刻なのは、調査に含まれない倒壊などの恐れがある「特定空き家」である。

 道の集計では、昨年10月時点で33市町村の計2073戸が空き家対策特別措置法に基づく特定空き家と判定され、このうち1479戸は自治体が所有者に撤去や修繕を求めている。

 ところが、所有者が解体や改修の費用負担を嫌い、応じないケースが少なくない。国と自治体が解体や改修への補助制度を拡充することも検討課題だ。

 登記簿上の所有者が亡くなり、現在の所有者を特定できないといった理由で、撤去や修繕が進まない物件も多い。

 空き家の権利関係が複雑になるのを防ぐため、相続登記の簡素化なども急がねばならない。

 道内では、特措法に基づき、空き家の撤去や活用を促す対策計画を策定した市町村が約4割にとどまっている。

 計画策定を今後のまちづくりと連動させ、地域の再生につなげる発想が欠かせない。

 空き家を地域の集会所に改築したり、撤去後の土地を公園にしたりするだけでなく、民間と連携して店舗や事務所として利用する方策も探ってほしい。

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