北海道

札幌駅周辺再開発、市主導で続々 容積率の緩和や事業費補助 財政面で不安も 札幌駅南口準備組合が発足

05/24 20:03

 JR札幌駅南口の札幌西武跡地を含む札幌市中央区北4西3街区で、地権者たちが「超高層ビル」建設に向け、再開発準備組合をつくって動きだした。23日に発足した組合は、新幹線の札幌延伸と五輪招致を見据えたまちづくりを宣言。札幌市は都心部再開発で主導的な役割を発揮し、1972年の冬季五輪を機に整備された街のリニューアルを進める。付近では新幹線専用駅舎の整備や別の高層ビル構想などがあり、札幌駅周辺のにぎわいが増しそうだ。

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 準備組合理事長となった最大の地権者、ヨドバシホールディングスの藤沢昭和社長は同日、報道陣に「北海道のシンボルとして恥ずかしくないものを建てたい。(ヨドバシ旗艦店がある)大阪の梅田、東京の秋葉原、京都などをイメージしている」と、期待を表明。秋元克広市長は「私どもがお願いしていた一帯の再開発を具体的に考える段階になった。都市計画や補助を含め、具体的な支援を考えたい」と積極的に関わる考えを強調した。

 同街区では2009年に札幌西武が閉店。市は17年、跡地を含む街区の再開発に向け、16の地権者と検討会を設け、複雑に絡む利害の調整に当たってきた。1月中旬には、市幹部を東京のヨドバシ幹部の元に送り、再開発の方向性を再確認するなど準備を重ねた。

 制度面では昨年末、地下歩道につながるビル、高機能オフィスや高級ホテルを併設するビルなどの容積率を緩和する優遇策を決定。北4西3の容積率は現状で800%だが、制度を活用すれば最大1200%程度で、延べ床面積10万平方メートル超の高層ビルも建設できる。

 札幌の中心部では、2030年度末の北海道新幹線札幌延伸をにらみ、開発がめじろ押しで、その多くに札幌市が関わる。「道内は民間の力が弱く、行政が後押ししないと進みづらい」(経済界関係者)ためだ。

 本年度は札幌駅新幹線ホーム予定地南側にある市有地の、中央区北5西1と北5西2の計約2・2ヘクタールについて、市が主体となり、JRや開発事業者などと検討を本格化させる。北電本店や北海道中央バスなどがある大通東1街区の大型再開発も市が後押ししている。

 さらに、「南2西3(狸小路3丁目)」などの再開発6事業に対し、計約130億円を補助。「130億円の負担で、1500億円の民間投資を生み出す」(市幹部)とし、固定資産税などの収入増も見込めるとし、秋元市長も「効率の良い投資」とのスタンスだ。

 札幌市は中島公園周辺に大規模会議や展示会などを開ける「MICE(マイス)」施設を整備し、近くに博物館建設も検討。中央区役所改築や、札樽道と都心部をつなぐ都心アクセス道路なども控える。

 市の事業を市民で検証する「札幌都心まちづくりタウンミーティング」の石川圭子実行委員長は、「相次ぐ大型開発を財政面で不安視する市民も多い。市は可能な限り説明を」と話す。巨額の投資について、一般市民に理解を広げられるかが市に問われそうだ。(五十嵐知彦、松本創一)

■大通地区 地盤沈下を懸念

 「大通が地盤沈下することになりかねない」。大通地区の流通関係者は、JR札幌駅前の札幌西武跡地の再開発計画に危機感をあらわにする。

 2003年のJRタワー開業以来、札幌市内の商業の中心は大通地区から駅周辺に大きく移り、この流れがさらに加速しそうだからだ。駅ビルの大丸札幌店は昨年度、売上高が669億円に達し、大通地区の札幌三越、丸井今井札幌本店の2店の合計(653億円)を初めて上回った。ある大型店幹部は「駅前は立地はいいし、売り場面積も広い。どのブランドも入りたがる」と話す。

 大通地区の共通の悩みは建物の老朽化だ。築90年に及ぶ丸井今井札幌本店の一条館では、建て替え検討が浮上するが、動きは鈍い。周辺には、1972年の札幌冬季五輪前後に建てられた商業施設が多く、ビルの改築がバラバラに進んでいる。札幌駅周辺と比べ、大規模な再開発の動きは乏しい。

 「地権者が多く、利害が対立して計画がまとまりづらい」(不動産関係者)のが原因で、「皆さん自分では動かない。まとまったプランがなく、行政の対応を待っている状態だ」。流通関係者からは「まちづくりの方向性を一致させないと、取り返しのつかないことになる」との声も漏れる。(土屋航)

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