社説

基地外で銃携行 米軍の順法意識を疑う

05/24 05:00

 長崎県の在日米軍佐世保基地に勤務する複数の日本人警備員が米軍の指示を受け、実弾入りの銃を持ち、基地外の公道を歩いて移動していたことが明らかになった。

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 警備上必要な場合、基地内で銃を所持することは日米地位協定で認められているが、基地外での所持は銃刀法違反の疑いがある。

 さらに問題なのは、基地の労働組合を通じ事前に情報を得た防衛省が在日米軍司令部に中止を再三要請したのに聞き入れられず、1週間ほど携行が続いたことだ。

 協定は在日米軍施設の存在に伴って生じる国民への影響を最小限にとどめることを目指している。

 その趣旨をないがしろにするかのような米側のふるまいは看過できない。

 同様の事例は初めてではなく、2008年に在沖縄米海兵隊基地でも起きている。

 なぜこうした問題が繰り返されたのか、米側は事実関係の詳細を明らかにすべきだ。再発防止の徹底を強く求めたい。

 米軍は銃携行に関する見解で、警備員の移動に関する日米合意について「誤解があった」と釈明し、運用を改善したと発表した。

 08年の沖縄の事案の際、政府は抗議し、基地外での銃携行について「地位協定の下で当然のこととして認められることではない」との答弁書を閣議決定している。

 この時、米側も「誤った指示」と認めていた。「誤解」という説明は納得できない。指示伝達に組織上の問題があるのではないか。

 米軍の見解には明確な謝罪の文言はなかった。日本政府の要請や日本の法令を軽んじる意識があると思わざるを得ない。

 そもそも片務的な地位協定が1960年の締結後、一度も改定されていないのは問題だろう。

 米軍人・軍属の公務中の事故や事件は日本側に第1次裁判権はない。銃の携行も今回のように日本人ではなく、米軍人なら公務中は基地外でも認められている。

 あまりに不平等ではないか。

 国内の米軍専用施設の7割が集中する沖縄では、米軍人・軍属による凶悪事件が後を絶たない。

 地位協定上、米軍が利用できる施設は北海道にも多数ある。

 日本と同じ敗戦国のドイツやイタリアは駐留米軍の活動に原則、国内法を適用しており、日本でも地位協定の改定は急務だろう。

 あすトランプ米大統領が来日する。安倍晋三首相は協定改定も含め、在日米軍を巡る問題をしっかり問いただしてもらいたい。

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