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<占冠 トマムは今>上 屈指の国際リゾートに

05/22 05:00
雲海テラスのオープニングセレモニー。雲海は出現しなかったが、テラスの遊歩道で、観光客が一斉にバルーンを放った=11日(打田達也撮影)
雲海テラスのオープニングセレモニー。雲海は出現しなかったが、テラスの遊歩道で、観光客が一斉にバルーンを放った=11日(打田達也撮影)

 山あいにそびえる4棟の高層タワーが存在感を放つ星野リゾートトマム(上川管内占冠村)。2006年に開設された山頂付近の展望施設「雲海テラス」は昨秋、累計来場者数が100万人を超えた。

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■海外でも有名

 「夏のトマムといえば雲海だよ。シンガポールでも有名だ」。そう話すシンガポールの会社員ルーベン・リーさん(43)は、雲海テラスの今季の営業開始に合わせて来日。オープニングセレモニーが行われた11日は、あいにく雲海は見られず「早起きしたのに残念。次は連泊しようかな」と再訪を誓った。

 同リゾートの昨年の宿泊客数は約48万人で、10年前と比べ2倍に増えた。中国の投資会社、復星集団(上海)による15年の施設買収で中華圏を中心に国際的知名度が高まった。一昨年冬には同集団が筆頭株主となっている世界的リゾート運営会社クラブメッドグループ(本部・パリ)が「クラブメッド北海道トマム」を開業。昨冬の外国人客は全体の8割を占めた。

 占冠村の人口は現在約1200人。林業と農業を主産業に1960年には4705人まで増えたが、高度成長期の終息と共に過疎化が進行。淡水魚養殖、山菜加工などの産業振興策を重ねても、人口減少の歯止めはかからなかった。

■村挙げて誘致

 村を挙げてのリゾート誘致活動の末、前身のアルファリゾートトマムが83年に開業。しかし、98年に施設の4割を保有する東京の不動産会社が経営破綻した。村は買い手が付かない施設の買い取りを余儀なくされた。

 潮目が変わったのは2004年。施設の残りを保有する仙台の企業が経営破綻し、巨額の負債が整理され、再生への一歩となった。施設運営も星野リゾート(長野県軽井沢町)に一元化され、雲海テラスなどの設備投資も再開。円安の進行で外国人客も増え始めた。

 かつて畜産業を営み、リゾート誘致に携わった瀬屑(せくず)頼義さん(101)は「農家は大きな借金を抱え、小学校の運動会ができないほど子どもは少なかった。将来を懸けた誘致運動が、ようやく実を結んだ」と感慨深げに語る。畜産農家3代目だった伊藤修さん(64)は用地をリゾートに売却後、リゾート社員に転身した。「リゾート誘致で村の将来も自分の人生も180度変わった」と話す。

 外国人客でにぎわう現在の光景は、リゾート誘致に懸けた村関係者にとって30年越しの宿願成就を意味する。そして今、リゾートで働く外国人の定住促進策や教育の充実など、新たな挑戦が始まった。(富良野支局の伊勢裕太が担当し、3回連載します)

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