日ロ

対ロ経済協力 「領土」に資する交渉を

05/12 05:05

 河野太郎、ロシアのラブロフ両外相を責任者とする3回目の日ロ平和条約締結交渉がおととい、モスクワで行われた。

 ラブロフ氏は、北方四島のロシア領有は第2次世界大戦の結果だと認めるよう迫り、一方的な主張を繰り返した。

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 ロシアによる四島の不法占拠は譲れない歴史的事実だ。強硬姿勢を前面に出す態度からは、領土問題を解決して条約を締結しようという意志が感じられない。

 安倍晋三首相とプーチン大統領は昨年11月、条約締結後の歯舞、色丹両島の引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速することで合意した。

 その後、政府は不法占拠などの訴えを控えたのに対し、ロシアは要求を強め、領土交渉は加速どころか後退しているように見える。

 会談では、四島での共同経済活動の早期具体化へ作業部会を設置することを決めたが、一連の交渉は領土問題の解決に資する形で進めなければならない。

 共同記者発表でラブロフ氏が四島領有の正当性や日米安全保障条約への懸念を訴えたのに対し、河野氏は「領土問題が解決していないから平和条約が締結されていない」と反論するにとどめた。

 昨年秋以降、北方四島の日本帰属を主張しないなど、政府のロシアへの配慮が領土問題の進展に結びついていないのは明らかだ。

 記者会見など公開の場で日本の考えを丁寧に説明し、ロシア国民をはじめ、対外的に歴史的事実を訴える必要もあろう。

 本旨である領土交渉の行き詰まりを受け、今回の外相会談では検討中の共同経済活動の事業を、いっそう絞り込んで作業を進めることで一致した。

 共同経済活動を巡っては当初、イチゴ栽培やウニ養殖が有力視されたが、両政府は「観光ツアー」と「ごみの減容対策」の2事業の具体化を優先する方向だ。

 6月のプーチン氏来日時に事業化を発表することを念頭に、法的問題が少ない事業を選んだという。外交的成果を焦って、日本の法的立場を害することがないよう、慎重に協議を進めてもらいたい。

 首相は3年前、領土問題解決への環境整備と位置付け、プーチン氏に極東開発など8項目の経済協力プランを提案した。しかしこちらも思うように進んでいない。

 一連の対ロシア外交は戦略性を欠いていると言うほかない。経済協力を四島返還につなげるよう、交渉を再構築する必要がある。

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