社説

スリランカ 卑劣なテロの連鎖防げ

04/23 05:00

 スリランカで連続爆破テロが起き、少なくとも290人が犠牲になった。日本人を含む外国人も大勢死傷した。

 無防備な市民を無差別に殺害する卑劣なテロは断じて許せない。

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 外国人が多く集まる高級ホテルやキリスト教会が標的になっており、イスラム過激派による犯行との見方が強まっている。

 スリランカではこれまでキリスト教徒とイスラム教徒の深刻な対立は伝えられてこなかった。

 犯行の狙いは何だったのか、その背後に何があるのか、徹底した捜査と分析が必要だ。

 スリランカでは1980年代から、人口の7割を占めるシンハラ人(仏教徒)が主導する政府と、次に多いタミル人(ヒンズー教徒)の分離独立派が対立し、内戦状態が26年間続いた。

 しかし、2009年に分離独立派が制圧された後は、このようなテロは発生していなかった。

 イスラム教徒とキリスト教徒は共に人口の1割前後にすぎない。

 連続テロはキリスト教の復活祭(イースター)に合わせて実行されており、少数派のキリスト教徒を狙っていることは明白だ。

 警察当局は事件前、イスラム過激派によるキリスト教会襲撃の可能性があることを把握していたとの情報もある。

 テロを未然に防ぐことができなかったのか。スリランカ政府の対応も検証されなければならない。

 テロは、同一グループが計8カ所で同時に実行したとされる。こうした大がかりな手口から、過激派組織「イスラム国」(IS)など、国際的なテロ組織との関係も捜査の焦点になる。

 16年には、スリランカから32人がISに加わったことが明らかになっている。

 ただ、ISはシリアでロシアの後押しを受けた政府軍などの攻勢を受け、壊滅状態にある。

 テロを引き起こす過激思想を武力で抑えるのには限界がある。貧困、不平等などテロを生む土壌にも目を向けることが重要だ。

 懸念されるのは、テロを機に各宗教間の対立が激化することだ。スリランカでは昨年3月、仏教徒とイスラム教徒の衝突が拡大し、非常事態宣言が出された。

 先月、ニュージーランドのモスク(イスラム教礼拝所)では白人至上主義者の男が銃を乱射し、50人を死亡させるテロがあった。

 テロは国境を越えて連鎖する。国際社会が連携を強め、これを封じ込める努力が求められる。

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