卓上四季

ブーメラン

04/21 05:00

「ブーメラン」というネット用語がある。誰かに対する批判や主張が自分に返ってくることを指すようだ▼安倍晋三首相が3年前、年金生活者支援策がばらまき政策だという野党の批判に対し、過去に野党党首が同じ主張をしていたことを挙げ「天に対してブーメランを投げているようなもの」と反論した。ネットで広まったのは、それがきっかけだとの説もある▼世界貿易機関(WTO)が韓国による日本産水産物の輸入禁止を認めた報道で、この語を思い出した。日本は科学的な安全性を強調するが、韓国側は放射能にまつわる「食の安心」が確保されていないとする対立だ▼韓国のこの論理は、かつて日本が米国に対して用いた。米国産牛肉の牛海綿状脳症(BSE)が問題になった際、米国は国際獣疫事務局(OIE)の科学的な基準に照らして安全だと主張した。これに対し日本は「食の安心が十分ではない」として、輸入を拒み続けた▼米国に投げたブーメランが韓国を通して逆戻りしたように見える。食べ物を安心して口に入れることができるかは、誰にとっても気になる問題だ。復興に向けて苦労を重ねている生産者の落胆を思うと心が痛むが、念には念を入れて説明を尽くさなければならない▼ネットの論争なら言いっ放しで済むかもしれないが、外交は相手を粘り強く説得する努力が求められる。そんな外交が展開されていない。2019・4・21

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