社説

大手旅行サイト 取引実態の解明が急務

04/21 05:00

 自社サイトの宿泊料金が最安値になるよう宿泊事業者に不当に求めたなどとして、公正取引委員会が独占禁止法違反(拘束条件付き取引)容疑で大手旅行サイトを運営する3社を立ち入り検査した。

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 立ち入り先は「楽天トラベル」を運営する楽天と、「ブッキング・ドットコム」「エクスペディア」の各日本法人だ。

 3社はホテルなどとの契約で、自社サイトに掲載する宿泊料金を他のサイトより安いか同額にする条項を設けていた疑いがある。

 こうした契約でサイト間の競争が阻害されたり、新規参入が妨げられたりすれば、宿泊料金が高止まりする恐れがある。市場競争をゆがめることは許されない。

 3社のサイトは国内の登録施設が数万件に上り、利用者も多い。宿泊事業者は不利な条件でものまざるを得ないのが実情だろう。

 観光が主要産業の一つであり、宿泊施設も多い道内では影響がとりわけ大きい。公取委は早急に実態を解明することが求められる。

 旅行サイトの利用は年々拡大し、ネットを通じた国内の旅行関連の推計市場規模は3兆円を超える。予約の9割以上を旅行サイトに頼る宿泊施設もあるという。

 旅行サイトは登録施設の宿泊料金や空室状況を載せ、サイトを通じて予約した利用者が支払う料金の一部を手数料として受け取る。

 本来、ホテル側は手数料が安ければその分、料金を下げられる。だが、他社と同等以上の条件を義務づける契約条項に縛られ、手数料が不要な自前のサイトでさえ割安な料金を設定できない。

 これでは中小業者の収益を圧迫しよう。消費者にとっても旅行サイトは便利だが、不公正な取引が常態化した結果、不利益を被りかねないことを忘れてはなるまい。

 見過ごせないのは、欧州でブッキング・ドットコムやエクスペディアがこうした契約条項を当局に問題視され、見直していたことだ。不当性を認識しながら日本で続けていたとみられても仕方ない。

 3社のようにネット上で事業の基盤を提供する大手IT企業は、データ収集力などを背景に取引先に不当な取引を強いているとされ、政府が規制を検討している。

 公取委はネット通販などの取引実態も調査している。2月には外部の出品者に費用を負担させるポイント還元の導入を計画していたアマゾンジャパンの調査に入り、同社は今月、導入を撤回した。

 国は中小企業や消費者保護の観点で適正な規制を急ぐべきだ。

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