卓上四季

とっつぁーん

04/19 05:00

映画や小説、ドラマからアニメに至るまで、大泥棒を主人公にした物語は多い。池波正太郎の時代小説「雲霧仁左衛門」は、盗み働き後、雲や霧のように消える盗賊団のニヒルな頭目だ▼赤川次郎さんの鼠(ねずみ)シリーズは、ちょっぴりずっこけの鼠小僧次郎吉が活躍する。北条司さんの漫画「キャッツ・アイ」は、お色気たっぷりの3姉妹が鮮やかに警察を出し抜く▼そんなヒット要素を全て備えるのが「ルパン三世」だ。かっこよくて、時に間抜け、カワイコちゃんにめっぽう弱い。連載開始から半世紀以上たっても人気が衰えない理由だろう▼その生みの親、釧路管内浜中町出身の漫画家モンキー・パンチさんが亡くなった。子どもの頃は霧多布の海岸で昆布を拾い、稼いだ小遣いで漫画雑誌を買ってむさぼるように読んだという▼講演では、「浜中の思い出が物語のヒントになる」とも話していた。霧多布の岩や海の波の中から、ルパンをはじめ、次元や五ェ門、峰不二子らのキャラクターが誕生したに違いない▼大人も楽しめる極上のエンタメ作品だったが、アニメでルパンの声を担当した山田康雄さんや、ライバルの銭形警部を担当した納谷悟朗さんは既に泉下の人である。けれど、ここにパンチさんが加われば、天国で新しい作品作りが始まるのではないか。「とっつぁーん」という独特のルパンの陽気な声が、雲の上から聞こえてきそうだ。2019・4・19

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