卓上四季

初花

04/18 05:00

新しい元号「令和」の出典が万葉集の「梅花の歌」序文だったこともあり、ずいぶんと梅が注目された。奈良時代は、「花」といえば梅。歌の数も桜より多かったが、これが平安時代に編まれた古今和歌集になると逆転する▼以来、桜は日本人に愛(め)でられ続けてきた。美しさやあっけない散り際が好まれるのはもちろん、蕾(つぼみ)がほころび、満開となり、一気に花びらが舞い落ちるそのサイクルを、人の一生と重ね合わせるからかもしれない▼桜の季節が訪れるたび、「また1年たったなぁ」と思う人も多いだろう。「年年歳歳花相似たり 歳歳年年人同じからず」(劉希夷(りゅうきい))。花は毎年同じように咲くが、人は確実に一つ年を取る。時の移ろいをこれほど強く感じさせる花は、ほかにない▼きのうは各地で初夏のような一日となった。きょうも気温が上がる見通しだ。札幌では早くも桜の便りが届いた。どうしん電子版が、西区の地下鉄駅そばでひっそりと咲く桜の様子を動画で紹介している▼今年初めて咲いた桜を「初花」「初桜」という。動画ではほんのり色づいたかれんな花びらが、穏やかな春風に揺れる。「初花の薄べにさして咲きにけり」(村上鬼城)▼道内の桜の開花は、おおむね平年並みになるという。こんな都々逸もある。「酒を飲む人花なら蕾 今日も咲け(酒)咲け明日も咲け」。大型連休中は、心ゆくまで花見酒が楽しめそうだ。2019・4・18

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