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<道内の産業シリーズ>4 「建設」 情報技術で働き方改善

04/17 09:19
<道内の産業シリーズ>4 「建設」 情報技術で働き方改善

 道内の建設業界はいま、大きく変わり始めている。情報通信技術(ICT)を活用した測量機器や重機の導入などで生産性や働き方の改善が進む一方、災害に備えた取り組みが重みを増し、「新技術で地域をつくり、守り続ける」という新たな時代の姿が鮮明になってきた。(道新夢さぽ取材班 青山実)

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 「世界初の新型ドローン」。こう銘打った注目のセミナーの会場には、ほぼ満席の約200人が詰めかけた。測量・計測機器の専門商社岩崎(札幌)が11、12の両日、札幌コンベンションセンター(白石区)で開いた最新機器の展示会。全国から70社ほどが出展して一部はセミナーも開催、約2300人が来場した。

 冒頭のドローンは、光の中で緑色の波長域のレーザー光線を用いたスキャナーを搭載。川や船が入れない浅い海などで水を透過して底の地形を立体的に画像化できる。製作した測量機器開発のアミューズワンセルフ(大阪)の佐野ひかる代表取締役は「i-Construction(アイ・コンストラクション)の中でも最先端の技術」と語る。

■3次元データ活用

 アイ・コンストラクションとはICTを活用して建設現場の生産効率などを高めるために、国土交通省が3年ほど前から普及に力を入れ始めた次世代型の建設方法。開発局によると、道内では昨年度、関係分で108件の工事が行われ、約70社が手掛けた。

 空知管内奈井江町に本社がある砂子組は10年ほど前から道路工事などで試行。全国第1号の工事も手掛け、国交省が優れた取り組みを表彰するために17年度から始めた「i-Construction大賞」で、国土交通大臣賞を受賞した。近藤里史常務取締役は「施工効率は3割ほど向上し、新しいことに挑む社風が歓迎されて入社希望の学生も増えた」と取り組みの成果を語る。

 道内最大手の岩田地崎建設(札幌)は、インターネットを通じて時間や場所を選ばずに全社員が工事の進行状況や完成形の3次元データを活用できるシステム(VDI)を3年前から導入し、工事の生産性向上に役立てている。

 一連の動きの背景には、建設業で高齢化が進み、担い手が不足している実態がある。道内の2017年の就業者数は約22万人で、ピークの20年ほど前に比べて約4割減少。年齢もほぼ半数が50歳以上で「若い担い手が集まるように職場環境の改善が急務」(道建設部)な状況だ。

 改善策としては完全週休2日制にも期待がかかる。昨年4月から始めた恵庭市の玉川組は現場監督を従来の1人から2人に増やすなどして対応。玉川裕一社長は「社員の意識も変わって生産性はむしろ高まり、業績も堅調」と話す。入社4年目の高安薫さんは「趣味の旅行や資格を取るための勉強の時間が増えた」とメリットを実感している。

■災害備え強靱化も

 建設の役割の変化で注目されるのが災害への備えだ。東日本大震災などを教訓に安心・安全な国土・地域・経済社会を構築するために定められた国土強靭(きょうじん)化基本法に基づき、北海道強靭化計画が15年に策定された。計画ではソフト・ハードの両面の対策を進めるが、これまで毎年約4千億円を計上。河川事業防災や住宅事業防災などハード面の事業費を見ていくと昨年度だけでも1800億円余りが充てられた。業界も「地域建設業は地域の安全・安心の守り手」(北海道建設業協会)との思いを持ち、道も「長期的に取り組んでいく課題」(総合政策部)と位置づけている。

 今後の見通しについて、北海道大学公共政策大学院の高野伸栄教授(建設マネジメント)は「道内では強靭化に加えてインフラの更新や都市部の再開発などで建設の役割は大きくなっていく」と指摘。その上で、学生の就職先としての建設業界は「ICTなどは若い人の得意な分野。活躍できるチャンスが広がっている」と話している。


「道内の産業シリーズ」は今回で終わります。

<ことば>i-Construction  iは情報(infomation)や革新(innovation)などを指し、Constructionは建設の意味。建設現場の生産効率と魅力を高めるために、情報通信技術(ICT)の機能を生かした測量機器や重機などを広く活用する次世代型の建設方法。国土交通省が2016年度から本格的に普及に力を入れ始めた。立体的(三次元)測量ができるドローンや人工衛星からの信号を利用して自分の位置を確認しながら正確な整地作業ができるブルドーザーなどがある。省力化が進み、熟練者でなくても若者や女性など多様な人材が活躍できるのが特徴。

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