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<千歳 人口増の陰で>上 戦車の通り道に小学校新設

04/16 05:00
C経路を走る戦車。奥の空き地が北陽小から分離する新設校の建設予定地だ
C経路を走る戦車。奥の空き地が北陽小から分離する新設校の建設予定地だ

 恵庭との市境に近い千歳市北部・みどり台。田園も一部残る、人口急増中の住宅街だ。「信号機も横断歩道もなかったら、子供の通学が心配」。パート従業員の星野希予さん(32)は、市立北陽小3年生の次男が、3年後に移る新設校の通学環境を気にかけている。

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 北陽小は児童数1497人。1学年6~8学級あり、2017、18年度と2年連続「全国一のマンモス校」となった。校舎も校庭も手狭で、市教委は22年度、同校を分離して新小学校を造る計画だ。3月に住民説明会が開かれ、新設校の校区内の星野さんも参加した。

■渡れぬ通学路

 星野さんの心配の種は、新設校の予定地が、自衛隊の戦車などが通る「C経路」と呼ばれる公道沿いにあることだ。次男は通学でC経路を横断する見通しだが、予定地そばに信号機や横断歩道はない。一番近い横断歩道を渡るには数百メートル先まで遠回りが必要になる。

 「一般の車も多い道路。今の状況だと、子供たちが横断歩道もない所を渡りかねない」と星野さん。説明会では安全対策を求める声が相次ぎ、市は道公安委員会に信号機と横断歩道の設置を要望した。

 C経路は市街地西側の演習場と、東側の駐屯地を結ぶ約10キロ。特殊車両が年間約千台通る。使われ始めた1962年当時は市街北側を大回りし、周辺は市街化調整区域だった。ところが00年ごろからC経路を囲むように宅地が拡大。現在は沿道に幼稚園と小中学校が計三つある。

 「自衛隊との共存共栄」を掲げてきた千歳の象徴とも言えるC経路に押し寄せる人口増の波。市は子供の安全確保、児童増加への対応に、同時に迫られている。いずれも待ったなしだ。

■式典入場制限

 3月20日に行われた北陽小の卒業式。体育館に約千脚の椅子がぎっしり並び、通路は狭くすれ違うのも難しい。式典の出席者は卒業生と保護者、そして在校生は5年生だけだった。これ以外の在校生は体育館に入りきらず、卒業生の保護者も2人までに制限された。

 同校の児童は、1994年の開校時の約4倍。池田元治校長は「分離の前年に当たる2年後に最も児童数が多くなる。卒業生だけでの挙式も考えなければならないかも」と頭を抱える。

 千歳市の人口は10年前から5%増え、3月1日現在で9万6975人。10万人は目前だ。旅客数が伸び続ける新千歳空港の活況と、活発な企業進出を背景に、市の税収も伸びている。だが、北陽小の分離新設には約36億円かかると見込まれ、市財政を圧迫する。人口増は光と影を生んでいる。(千歳支局の三坂郁夫が担当し、3回連載します)

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