記者の視点

男子アイスホッケー衰退の危機 選手強化とファン獲得急務 釧路報道部・長堀笙乃

03/31 10:16
日本製紙クレインズを応援しようと今季最多の3千人超の観客で埋まったアジアリーグプレーオフ決勝第2戦=3月10日、釧路市の日本製紙アイスアリーナ
日本製紙クレインズを応援しようと今季最多の3千人超の観客で埋まったアジアリーグプレーオフ決勝第2戦=3月10日、釧路市の日本製紙アイスアリーナ
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 氷都釧路で昨春からアイスホッケーの担当記者となり、廃部を決めた日本製紙クレインズ(釧路市)がアジアリーグで準優勝した姿をロシアのユジノサハリンスクで見届けた。この1年間で実感したのは、日本の男子アイスホッケーはトップ選手の数の先細りや観客の少なさなどにより、競技自体が衰退の危機を迎えているということだ。選手にとっても見る人にとっても魅力的なスポーツにするため、アイスホッケー界全体の取り組みが必要ではないか。

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 「クレインズに憧れてアイスホッケーを始めたけれど、大学を卒業したら普通に就職する。選手は続けない」。昨年12月に日本製紙の廃部が発表された際、全国的な強豪として知られる釧路市内の高校の選手に将来の目標がなくなったのではないかと聞くと、こんな答えが返ってきた。この高校の監督は「アジアリーグを目指している選手は1学年に1人いればいい方」と打ち明けた。

 有望なジュニア選手が、トップに上る手前で選手をやめると早くから決めてしまう現実。背景には、日本製紙も含め、アジアリーグに参戦する国内4チームの全所属選手のうち半数以上が契約選手で、現役引退後の身分の保障がないことがある。より安定した社員選手は、日本製紙の廃部で一層「狭き門」となる。

 だが、最大の課題は、そうしたリスクをとってまで選手を続ける明確な目標を持ちにくいことにある。日本男子は1998年の長野冬季五輪に開催国枠で出場して以降、五輪予選で敗退している。選手にとっては「人生をかけてかなえるような夢が見えない」(高校アイスホッケー部監督)状態だ。

 日本アイスホッケー連盟(日ア連)幹部も男子アイスホッケーの危機を認めつつ「年代ごとの強化策や目標をしっかり定める必要がある」と話す。まずは20位台にとどまっている国際アイスホッケー連盟の世界ランキングでトップ10入りする目標年など、日ア連は五輪出場への具体的な道筋を示すべきではないか。

 競技を盛り上げるためにはファンの存在も欠かせない。

 日本製紙の廃部が発表されると、本拠地の日本製紙アイスアリーナ(釧路市)で行われるアジアリーグの試合の観客数は急増し、ホーム最終戦となった今月10日のプレーオフ決勝第2戦は今季最多の3011人で埋まった。だが、発表前のホーム戦8試合は、うち4試合で観客が千人に届かなかった。空席の目立つ寒々しい光景を見るたびに寂しさを感じた。

 アジアリーグでは通常、ファン獲得策は各チームに任されている。日本製紙の場合、日本製紙の社員やファンらでつくる団体が、応援やチームのグッズ、イベントなどの企画を担っている。

 一方、男子プロバスケットボールBリーグでは、リーグがツイッターなどの会員制交流サイト(SNS)で各試合のハイライト動画や注目選手のプレー動画などを積極的に発信し、ファンを広げようとしている。Bリーグの例にならい、アジアリーグの国内試合でも日本アイスホッケー界が主導してファンを取り込む工夫ができないだろうか。

 私は大学時代、体育会の部活動の活躍を伝える学内のスポーツ新聞部に所属し、アイスホッケー担当となった。以来、現在まで取材する機会に恵まれ、目まぐるしく変わる試合展開や選手同士の激しいぶつかり合いなど、目でも耳でも楽しめるこのスポーツに魅了され続けている。だからこそ、一人でも多くの人が試合に足を運ぶ仕掛けづくりを考えてほしいと思う。

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