社説

日産特別委報告 現経営陣の責任どこに

03/29 05:00

 日産自動車の企業統治改革を検討してきた外部有識者らの特別委員会が最終報告をまとめた。

 前会長カルロス・ゴーン被告が金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)と会社法違反(特別背任)の罪で起訴された事件について、ゴーン被告への権限集中が根本原因と指摘した。

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 会長職を廃止し、会長が兼務していた取締役会議長を社外取締役が担うことを提言した。

 社外取締役が中心となって経営を監督する「指名委員会等設置会社」への移行も求めた。

 業務執行と監督の分離を明確にし、不正を防ぐ取締役会の監督機能を高めるのは当然だ。「外部の目」を取り入れ、経営の透明性を高めることも欠かせない。

 ただ、ゴーン体制を支えた西川(さいかわ)広人社長ら現経営陣の責任に触れないのは踏み込み不足だ。経営陣は、不正を生んだ企業風土や歴代経営陣の責任を自ら検証する努力が求められる。

 最終報告は事件について、会社の利益のための粉飾決算などと異なり、私利私欲を追求した「典型的な経営者不正」と結論づけた。

 ゴーン被告は日産の救世主として神格化されていた。取締役会で意見が出ることを嫌い、物言う監査役を再任しなかったという。

 だが独裁を許し、長年にわたり不正を見過ごしたのは現経営陣である。金商法違反では法人としての日産も起訴された。その責任を曖昧にしたままで、信頼性のある新体制を組めるのか。

 共同委員長の西岡清一郎弁護士は会見で「特別委は統治改善策の提言が目的」と説明した。トップの暴走を止められるかどうかは統治の根幹に関わる問題であり、避けて通れないはずだ。

 特別委に社外取締役3人が入ったことも、ふに落ちない。これでは経営陣の責任を問うのは難しい。結果的に報告の客観性に疑問符が付いたと言わざるを得ない。

 日産は提言を踏まえ、6月の定時株主総会までに新体制を固める。仏ルノーとの資本関係見直しなど課題が残る中、実効性のある統治体制を早急に構築すべきだ。

 提言の柱である指名委員会等設置会社には、既に70を超す上場企業が移行している。だが、いち早く移行した東芝で不正会計問題が起きたように、形だけ整えれば不正を防げるわけではない。

 経営トップに直言できる社外取締役をそろえ、判断に必要な社内情報を十分に提供するなど、客観性を重視した体制が重要になる。

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