社説

新年度予算成立 統計に疑念残したまま

03/28 05:00

 政府の新年度予算がきのう成立した。衆参の予算委員会は、多くの重要課題で論戦が消化不良のまま終わった。特に、国の政策の正当性に関わる毎月勤労統計の不正問題は疑念を残したままだ。

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 与党は、野党が要求する参考人招致や資料提出に小出しで応じつつ、詳細な経緯を知るとみられるキーマンの招致は拒み続けた。

 このままでは立法府の使命を果たしたことにならない。後半国会でも重点的に審議すべきだ。

 論戦の最大の焦点は、厚生労働省が勤労統計の調査手法を変更した際に、首相官邸の圧力があったかどうかの問題だった。

 2015年当時の厚労省有識者検討会座長と同省課長補佐のメールを見れば、関与や圧力があったとみるのは自然だが、課長補佐の参考人招致は実現しなかった。

 新方式での調査がスタートした18年1月、厚労省はひそかにデータの補正も始め、賃金の伸び率の上振れにつながった。

 当時の担当室長は組織的隠蔽(いんぺい)の有無を巡る真相究明の鍵を握る存在だが、招致されていない。

 昨年の実質賃金の参考値も公表されないままだ。景気後退の可能性が指摘される中で、消費税増税の是非に関わる重要なデータを出さないのでは話にならない。

 安倍晋三首相は統計問題の「徹底解明」を掲げていたが、やはり口先だけだったようだ。政府・与党の対応は、解明どころか真相隠しだと言われても仕方ない。

 一方で首相は都合のいいデータだけを並べ、論点外しの答弁で経済政策の「成果」を誇る。相も変わらぬむなしさが残った。

 政権のおごりと緩みは、ほかにも随所に見られた。

 桜田義孝五輪担当相は、東日本大震災の際に東北の交通網が「健全に動いていた」と述べた発言について事実誤認を認め撤回した。

 横畠裕介内閣法制局長官が野党議員の質問を批判した答弁も、本来なら罷免に値しよう。

 また、厚労省はきのう、韓国の空港でトラブルを起こし更迭された前賃金課長が、暴行容疑で現地警察に現行犯逮捕されていたことを明らかにした。

 政権への攻めどころは少なくなかったのに、追及しきれなかった野党の迫力不足は否めない。

 後半国会は約3カ月の会期を残す。昨年の臨時国会では一度もなかった党首討論の開催が急がれよう。夏の参院選前だからこそ、審判を下す国民の前で緊迫感のある論戦を見せてもらいたい。

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