社説

辺野古土砂投入 強行しても展望はない

03/27 05:00

 政府が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先とする名護市辺野古沿岸部で、新たな工区への土砂投入を始めた。

 先月の県民投票で7割超が移設に反対した中での強行は、沖縄との対立を激化させるだけで、基地問題の解決に何らつながらない。

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 玉城デニー知事が「民主主義を踏みにじり、地方自治を破壊する」と批判するのも当然だ。

 移設計画を巡っては、最深が90メートルもある軟弱地盤の存在が明らかになり、防衛省は約7万7千本のくいを打つ追加工事を予定する。

 世界的にも例がない難工事が必至となる中、防衛省は最深部のボーリング調査をせずに、国内で施工実績のある水面下約70メートルまでの地盤改良をすれば安定性が確保できると国会で答弁していた。

 あまりにずさんで、計画自体の実現性を疑わざるを得ない。

 基地問題は政府と県の対話なくして解決はない。その環境を整えるためにも、まずは政府が工事を止める必要がある。

 新たに土砂投入が始まった区域は埋め立て海域の南側で、広さは33ヘクタールある。現在埋め立て中の区域と合わせ、予定地全体の4分の1を来年夏まで陸地化する計画だ。

 しかし、予定地東側の軟弱地盤の問題を解決しなければ基地は運用できない。政府は地盤改良について十分な説明をしておらず、総工費も示していない。

 現状では県が追加工事を承認する可能性はなく、移設計画がいずれ行き詰まるのは明らかだ。

 看過できないのは、岩屋毅防衛相が県民投票の結果を受け、先月の記者会見で「沖縄には沖縄の民主主義があり、国には国の民主主義がある。それぞれの民意に責任を負う」と述べたことだ。

 沖縄の民意を無視すると言ったに等しい。今月初めの共同通信の全国世論調査で、県民投票の結果について、政府が「尊重すべきだ」とした回答は68%に上った。

 政府の強行姿勢は県外でも理解を得られまい。

 玉城氏は先週、安倍晋三首相と会い、土砂投入中止と1カ月程度の話し合いを求め、国との訴訟を取り下げる譲歩案も示した。

 だが、首相は拒否し、県は埋め立て承認撤回の効力を国土交通相が一時停止したのは違法だとして福岡高裁那覇支部に提訴した。

 法廷闘争と工事の強行を繰り返す対立の連鎖は絶たねばならない。それには、政府が県と対話する姿勢にかじを切り、辺野古の代替案を探ることが欠かせない。

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