社説

米国の財政赤字 垂れ流しは責任感欠く

03/19 05:00

 トランプ米政権は、10月に始まる2020会計年度の予算編成方針を示す予算教書を発表した。

 財政赤字は1兆1千億ドル(122兆円)に達し、19年度から4年続けて1兆ドルを超すと見込む。

[PR]

 リーマン・ショック以来の危機的な状況だ。しかも今回は、景気拡大局面での財政悪化である。深刻な事態と言わざるを得ない。

 巨額赤字は国債の大量発行を伴う。財政への懸念が高まれば米国債の価格下落と金利上昇を招き、景気を下押ししかねない。

 日本を含む各国の政府や金融機関は大量の米国債を持ち、米財政悪化の影響を受けやすい。

 米国は通商政策で保護主義を振りかざし、既に世界経済を揺るがしている。

 加えて財政で赤字を垂れ流せば関係国の不安は募るばかりだ。自らの責任を自覚し、赤字削減に取り組んでもらいたい。

 財政規律が緩んだのは、米国第一を掲げるトランプ大統領が、政権維持を狙った近視眼的な政策に固執しているからだ。

 昨年始めた大型減税で歳入は伸び悩む。減税は昨秋の中間選挙をにらみ、好調な経済をさらに刺激しようと導入された。

 歳出ではインフラ投資や国防に巨費を投じるほか、政府機関閉鎖の原因となったメキシコ国境の壁の建設費用を大きく増やす。

 一方、環境や海外援助などの予算は大幅削減するという。

 「力による平和」を前面に打ち出し、国際協調や地球温暖化対策に背を向けていると言われても仕方あるまい。

 看過できないのは、トランプ政権の見通しの甘さだ。

 減税により年3%の高成長が続いて税収が増え、15年後には財政赤字が解消すると予想する。

 だがエコノミストの多くは減税効果が早く薄れると分析し、米国の潜在成長率が1%台であることを考えれば3%はありえないと見る。これが現実的ではないのか。

 米国の貿易赤字額は昨年、過去最大となった。

 1980年代のレーガン政権時代、貿易と財政の「双子の赤字」が世界経済に重くのしかかったことを想起させる。トランプ政権は同じ轍(てつ)を踏んではならない。

 米国の予算は、教書をたたき台として議会が編成する。

 20年に大統領選挙を控えているからといって、与野党は歳出圧力を強めるべきではない。政権の野放図に歯止めをかける、良識ある予算編成を求めたい。

ページの先頭へ戻る