卓上四季

東日本大震災で発生した巨大津波は、内陸部にも押し寄せた。海岸から約1キロ離れた福島県浪江町の高台に建つ諏訪神社には、命からがら津波を逃れた住民約50人が身を寄せた▼食料もなく、夜になると気温はどんどん下がる。人々は倒壊した社殿の板をはがし、たき火をして暖を取ることで寒さをしのいだ。神社が住民の命を救ったのだ。けれど、原発事故のために浪江町は全町避難となり、氏子もバラバラに。社殿は朽ち果てた▼その神社が再建されることになった。立ち上がったのは、大阪の住宅メーカー「創建」。無償で社殿を建て替え、奉納する。神社があった場所は標高約25メートルの階段の上。重機が入れないので、木材などは人力で運ぶ▼うれしいのは、作業の中心が、創建傘下の「木の城たいせつ」(空知管内栗山町)ということ。同社の木材加工技術は宮大工の「技」を再現できるほどのレベルの高さで、これまでも熊本地震で全壊した熊本県西原村の白山姫神社再建などに携わってきた▼住民を救った神社の建て替えに、北海道の企業が一肌脱ぐ。道民として、何とも誇らしい気持ちだ。完成は10月の予定だという。地域住民の心のよりどころになればいい▼地震発生から8年。いまなお多くの被災者が避難生活を強いられている。その人たちに手を差し伸べられることは何かないか、改めて考えたい。震災はまだ、終わっていない。2019・3・12

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