社説

戦後最長景気 自律的成長には程遠い

02/01 05:00

 政府は、2012年12月から続く景気拡大が先月で6年2カ月に達し、戦後最長を更新した可能性が高いとの見解を示した。

 確かに株価は上昇し、円安で大企業の業績は改善した。

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 だが実態は、日銀の大規模金融緩和を軸にした景気刺激策のほか、海外経済の拡大という追い風に頼った側面が強い。

 しかも実質賃金は伸びず、内需の柱である個人消費はふるわない。経済が好循環せず多くの国民が豊かさを実感できない以上、自律的な成長とは到底言えまい。

 安倍晋三政権はアベノミクスの成果だと誇るが、景気拡大期間の長さばかり前面に出して自賛していないか。統計不正で政府のデータへの信頼も揺らいでおり、そう胸を張れるものでもなかろう。

 政府は、地方や中小企業にも広く恩恵が及び、国民が等しく安心して暮らせる経済政策への軌道修正を急ぐべきだ。

 今回の景気拡大の特徴は、実質成長率が平均で年1・2%と極めて低いことだ。戦後の主要拡大期で最低だった02年から08年にかけての1・6%をも下回る。

 民間エコノミストからは、今回の拡大のうち通算3年近くが景気の明確に上向かない「踊り場」だったとの指摘も出ている。

 大規模金融緩和や財政出動といった「カンフル剤」への依存が続き、弊害が大きくなっていることは見過ごせない。

 日銀は国債や上場投資信託(ETF)を大量購入して市場をゆがめている。マイナス金利は地方銀行の体力を奪っている。

 政府の19年度予算案は景気対策の大盤振る舞いで総額が100兆円を突破し、国の借金は1千兆円を超えて膨らみ続ける。

 将来世代へのつけ回しとなる政策で成長を「演出」するのでは、無責任のそしりを免れまい。

 一方、カンフル剤で時間稼ぎする間に軌道に乗せるはずだった「成長戦略」は効果が見えない。

 消費を喚起するには、家計の所得を増やさねばならない。好業績の続く企業は、思い切った賃上げを行ってもらいたい。

 消費が低迷する現状の根底には、将来への不安がある。

 極度に悪化した財政を立て直し、社会保障を持続可能なものにする道筋が示されなければ、国民は安心してお金を使えない。

 格差是正や低所得者への分配に力を入れ、人々が働きやすい環境を整える。成長力を高めるにはこうした政策が不可欠である。

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