社説

国会論戦始まる 統計不正の究明を急げ

01/31 05:05

 国会はきのう、衆院で代表質問を行い、論戦が始まった。

 厚生労働省の勤労統計不正で安倍晋三首相は「見抜けなかった責任は重く受け止めている」とし、徹底検証や再発防止に「全力で取り組んでいきたい」と表明した。

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 野党側が求めた根本匠厚労相の罷免は拒否した。

 統計不正は、特別監察委員会による調査で対象者の7割を「身内」の職員のみで聴取していたことをはじめ、問題発覚後の厚労省の対応もあまりにずさんだ。根本氏の監督責任は免れまい。

 一連の問題の全容解明が急がれる。国会の責任も重い。政府側に逃げの答弁を許さず、行政監視の使命を果たしてもらいたい。

 首相は、不正は「セーフティーネットへの信頼を損なう」との認識を示す。雇用保険などの給付で国民に損失を与えた結果は重大だが、問題はそこにとどまらない。

 政策の基盤である統計の不正は政府そのものへの信頼を損ねた。厚労省のお粗末な対応は、政権としてその深刻さを理解していなかったことが一因ではないか。

 首相は立憲民主党の枝野幸男代表に、報告を受けたのは昨年の12月28日で「しっかりと事案を精査するよう指示した」と答弁した。

 根本氏が知ったのは同20日だ。首相に上がるのが遅すぎる上に、首相がその後の厚労省の調査に目を光らせたのかどうかも疑問だ。

 形ばかりの第三者調査を1週間足らずで終わらせた対応を、なぜ事前に正さなかったのか。

 野党は、安倍政権の経済政策の成果を誇張する「アベノミクス偽装」ではないかと追及している。

 昨年1月からひそかにデータの補正を行った結果、賃金が高い伸びを示したからだ。

 この点をただした国民民主党の玉木雄一郎代表に対し、首相は「再集計で下方修正した数値のみを示してアベノミクスの成果だと強調したことはない」と答えた。

 知りたいのは組織的な隠蔽(いんぺい)や偽装の有無であり、その真相を究明するのが首相の「責任」だ。相も変わらぬ論点そらしの答弁を続けていては疑念が晴れまい。

 日ロ平和条約交渉で枝野氏は、北方四島の帰属問題の解決を確認した東京宣言には言及せずに日ソ共同宣言を基礎にするとの方針は、交渉の後退だと批判した。

 首相は「両国が批准した唯一の文書」だとして共同宣言の有効性を強調し、今後の交渉での東京宣言の扱いは語らなかった。重要な点を曖昧にするのは不誠実だ。

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