社説

2019年春闘 ベア軸に賃上げ継続を

01/30 05:00

 今年の春闘が事実上始まった。

 連合は基本給を底上げするベースアップ(ベア)2%程度と定期昇給を合わせ4%程度の賃上げを求めている。一方、経団連は固定費が増えるベアを「選択肢」の一つにとどめている。

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 政府が賃上げの旗を振る官製色が薄まったのが今年の特徴だ。春闘は民間で話し合うのが筋であり、当然と言えよう。

 だからといって、ベアを初めからけん制するようでは、政府の圧力が弱まった途端に経営者側の腰が引けたと言われても仕方ない。

 生活の底上げには、目先の業績に左右される一時金などでなく、ベアを優先させる必要がある。

 賃上げを定着させ、中小企業や地方へ波及させる意味でも、大企業には踏み込んだ判断を求めたい。その余裕はあるはずだ。

 企業の業績は大手を中心に好調で、内部留保も過去最大水準だ。政府は景気拡大期間が戦後最長になった可能性が大きいと発表した。賃上げの環境は整っている。

 だが過去5年の大企業の賃上げ率は2%台で、利益を給料などに振り向ける比率も低迷している。業績に見合う還元とは言えまい。

 経団連は春闘の指針に「賃上げは政府に要請されて行うものではない」と明記した。そうであるならば、大企業は自発的に賃上げに努めてほしい。

 賃上げは消費を活発化させ、企業自らの業績向上につながる。人手不足の中、人材確保にも資する。消費税引き上げを10月に控え、景気の腰折れを防ぐ意味もある。

 利益の適正な還元が成長の原動力となることを肝に銘じたい。

 気がかりなのは、春闘相場を先導する自動車総連が統一ベア要求を示さないなど、ベアに固執しない動きが労組側にもあることだ。

 同率のベア獲得だけでは、もともと大きい中小と大手の賃金格差が縮まらないため、賃上げ総額を重視して格差是正を狙うという。

 企業規模のほか雇用形態や産業、地域でも格差が生じており、改善を図ることは重要である。

 だが、ベアの優先度を下げることには慎重であるべきだ。経営者側が要求が後退したと捉えたり、消極的な回答の口実にしないか。賃上げの水準が不透明となり、交渉の論点も拡散しかねない。

 新年度から関連法の施行が始まる働き方改革への対応も今春闘の焦点だ。健康に働ける環境づくりはもちろん、長時間労働の是正で減る残業代分をどう補うかなども、労使でじっくり協議したい。

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